解析の手引き


吸収のデータの有効利用!
  • 吸収係数の決定
  • ---> 吸収補正などに利用。
  • f'とf''の決定
  • 2台のイオンチェンバーで試料を挟み、上流のイオンチェンバー(I0)で 試料に入射するX線量を測定する。 試料の下流側のイオンチェンバー(I1)で試料の吸収により減衰した X線強度を測定する。 すると、以下の関係式により吸収係数がわかる。
    I1=I0*exp(-μ(E)t)

    ここで、μ(E)が吸収係数、tが試料の厚みである。 ただ、現実には試料とイオンチェンバーの間の空気やカップトンの窓、 試料を挟んでいるテープ各々のエネルギーに対する変化を同時に 測定していることとなり、何らかの補正が必要となる。

    ここでは、すでに知られている元素のエネルギー依存性に合わせて バックグラウンドを合わせてくれるソフト(DIFFKK)を利用する。 プログラム中では佐々木先生の作られたデータベースを利用してるとのことです。 (初期データとしてμ(E)が必要になるが、とりあえずln(I0/I1)で使用可能) すると、計算結果としてf'(E), f''(E)を得ることができる。 ただし、私の使用した限りでは次の問題がある。

    したがって、バックグラウンドを取り除くためだけに利用した。 ソフトは、こちらから取ってきてください。

  • 吸収係数の決定
  • 上記のプログラムで求まった、f''(E)を利用し、
    μ(E)=(2e^2 h/mcE)f''(E)
    の関係式より μ(E)を求める。

  • 吸収補正の仕方
  • 無限平板の近似では、吸収補正としてIreal=μ(E)*Iobsを使用する。 (I_obsは、観測した散乱強度。Irealが補正後の値)。 ここで強度の絶対値を議論するわけではなく、 相対値を議論するのでしたら μ(E)の絶対値は必要なく。 単にf''(E)/Eを計算すれば、μ(E)エネルギー依存性が得られる。

  • f'の決定
  • f''は、先ほどのプログラムから出てきた答を信用する。 f'はKramers-Kronig変換をすればよく、別の プログラムを利用する。 ここで、吸収端から離れた領域のデータをちゃんと作っておくことが 重要です。(ちなみに私は、2keVから10keVの範囲ぐらいでKK変換を行った)
    また、得られた結果とtableで用意されているf'と、 縦軸方向に微妙にずれが生じる。 ここでは、単に縦軸方向に平行移動させるとtableのデータと 一致させることが出来る。 (KK変換のプログラムを改良すれば直るはず(?)) 誰か、直しません?

    高エネルギー加速器研究機構
    放射光実験施設
    BL-16A2のホームページに戻る
    BL-4Cのホームページに戻る
    yusuke.wakabayashi(at)kek.jp