偏光の選定(直線偏光/楕円偏光の切り替え)
ビームライン最上流のアパーチャーS0を用いて、偏向電磁石からの放射光の中心/非中心を取り込むことによって、直線偏光/楕円偏光を利用することが可能である。偏光を切り替えた時は、入射スリットにビームが入るように縦集光ミラーM0’を調整する必要がある。
○ 直線偏光を利用する場合:S0を中心に設定する。
M0’を調整して入射スリットを抜ける光強度が最大となるようにする。
○ 楕円偏光を利用する場合:S0を上または下に設定する(通常は上を用いている)。
M0’を調整して入射スリットを抜ける光強度が最大となるようにする。
[S0の設定]
S0の実体は上下別々のスリット刃であり、BL-12メインハッチ脇に設置されているパルスモータコントローラPMC16AのCH4及び5で駆動することができる(パルスモータドライバはBL-11メインハッチ内に設置されている)。なお、CH0-CH3は第1ミラーM0の調整に使用されるもので、通常は調整済みであるから動かしてはならない。
PMC16AのCHANNELを4及び5に切り替え、それぞれを適当な位置まで動かす。いずれも初期の調整で、刃先がビーム中心となる位置を0.000mmとしてあるので、例えば中心の±0.1mradを取り込むときは、CH4を+0.600mm、CH5を-0.600mmとする(S0は光源から6.0mの地点に設置されている)。中心から上に0.3-0.5mradの範囲を取り込む場合は、CH4を+3.000mm、CH5を+1.800mmとすればよい。実際に動かすときには、SET DATAに移動量を300などと設定し、DIRを確認の上、INDEX RELで送るのがよい。なお、バックラッシュがあるので、最終的にはCW方向で合わせるようにする。
2000年4月末に、中心の位置を再設定した。
2002年9月末に、中心の位置を再確認した。
[M0’の調整]
入射スリットを抜ける光の強度(入射スリット直後の蛍光板を挿入して直流測定、またはビームライン下流のI0モニターの強度)をピコアンメータ等でモニターしながら調整する。M0’は、樋型の円筒鏡で、チャンバーごと駆動する面内回転(Yaw)は調整済みのために動かさない。ここでは、3本脚で決まる鉛直方向の位置と振り角のみを調整する。即ち、上<または下>(楕円偏光)を利用する場合には中心(直線偏光)を利用する場合に比べ、ミラー全体の高さを上げ<下げ>、振り角を少し小さく<大きく>する。この調整は、BL-12メインハッチ脇に設置してあるIBM Aptiva Music Visionの専用プログラムControl M0'を用いる。このプログラムでは3本脚(Z1, Z2, Z3)それぞれの駆動を、Y(鉛直)位置、Pitch(振り角)回転といった移動命令(UP/DOWN)で実行できる(但し、脚は1本ずつ動くので光強度を見るのは全ての軸が停止してからでなければならない)。3本脚の位置は、同じ場所に設置してあるLINEAR GAGE CONTROLERで読みとることができるので、M0’を駆動した後には、この値をログブックにメモしておく(但し、停電時には値を失うので絶対値を信用することはできない)。また、軸が不用意に動くことがないよう、プログラムはEXITで終了しておく。
Last modified: February 1, 2003