高次光除去用ミラーの利用
高次光除去を目的とする2枚組の平面鏡Mwが、出口スリットS2と後置集光鏡Mfの間に用意されている。2枚のミラーはSi製で、表面の半分にNiが蒸着されており、ミラーを並進させることにより“ミラー抜き”“Siミラー”“Niミラー”の3通りを選択することができる。なお“ミラー抜き”に比べ“ミラーあり”では出射ビームの高さが8mm上になるので、後置鏡Mfの高さも調整する(I0モニターやビームライン末端の出射ビームの位置にも注意が必要=“ミラーあり”の場合はダクト中心より8mm上にビームがある)。
[高次光除去用2枚組平面ミラーの抜き差し・反射面の切り替え]
2枚組ミラー回転機構全体が1枚のテーブルに載っていて、手動の直線導入機構でミラーを並進させる。ミラーを抜き差しする場合は後置鏡Mfを上面の直線導入器で上げ下げしなければならない。目盛りとの関係は以下の通り。なお、ミラーの並進はミラーが水平の状態(後述の入射角基準では-4度)で行うことになっている。
| ミラー抜き | Si | Ni |
並進機構目盛り | 0 mm | 60 mm | 100 mm |
後置鏡Mf位置 | 24 mm | 16 mm |
[入射角の設定]
2枚組ミラーは、その対称中心を軸として回転することによって出射ビームの位置を一定に保つように作られている。
入射角を変化させるための回転は、サインバーをパルスモータ駆動することによって行われ、分光器制御用コンピュータに隣接するラック内の3チャンネルパルスモータコントローラPM4C-05-1のCHANNEL Dで駆動するが、通常はパソコンから制御する。
制御プログラムBL-11Aの最初の画面で、[G&MwMove]を選択すると回折格子及び高次光除去ミラー駆動の窓が現れるので、MwのPresent Angleを確認して、Destination Angleを入力する。この時の角度の呼び方は、ミラーが水平になるところ(基準)からからミラーを4度回すと、ミラー表面がビーム(水平に対して4度振り上げ)に平行になるので、その時を入射角0度と称している<ミラーが水平の時は−4度ということになる>。
1999年夏に、サインバーの位置を読みとるリニアゲージが設置されたので、現在角を知るのにパルス数とともに利用可能である。通常はミラーが水平になるところを基準としてパルスカウンタを500000に設定している(この時サインバーベローズ外側長が203mmであり、リニアゲージは0.0mmとする)。ミラーの全長が130 mmであり、ビームを全面で反射できるのは入射角1.5度以上である。1.5度から13度に対するパルスカウンタの値とリニアゲージの読み取り値は以下の通りである。分光器制御用プログラムを利用して正常終了した場合はパソコンに入射角の値が保存されるが、異常終了した場合は正しく保存されないので注意が必要である。このため、ときおり入射角をパルスカウンタまたはリニアゲージ読み取り値で確認する必要がある。
入射角 | パルス | リニアゲージ | | 入射角 | パルス | リニアゲージ |
1.5 | 404155 | 09.50 | | 7.5 | 300633 | 19.81 |
2.0 | 395473 | 10.37 | | 8.0 | 292089 | 20.67 |
2.5 | 386798 | 11.24 | | 8.5 | 283561 | 21.52 |
3.0 | 378132 | 12.10 | | 9.0 | 275050 | 22.37 |
3.5 | 369475 | 12.97 | | 9.5 | 266556 | 23.22 |
4.0 | 360828 | 13.83 | | 10.0 | 258079 | 24.06 |
4.5 | 352192 | 14.67 | | 10.5 | 249621 | 24.89 |
5.0 | 343567 | 15.53 | | 11.0 | 241182 | 25.74 |
5.5 | 334953 | 16.40 | | 11.5 | 232763 | 26.57 |
6.0 | 326353 | 17.26 | | 12.0 | 224364 | 27.41 |
6.5 | 317765 | 18.12 | | 12.5 | 215986 | 28.25 |
7.0 | 309192 | 18.96 | | 13.0 | 207629 | 29.08 |
なお、表中のリニアゲージの読み値は、CW方向に動かして停止した場合のものであり、CCW方向に動かした場合には0.1mmほどずれることが判っている。
図. 2枚組Siミラーの反射率(光エネルギー走査)。
図. 2枚組Siミラーの反射率(入射角走査)。
図. 新2枚組Siミラーの反射率(入射角走査)。
図. 2枚組Niミラーの反射率(入射角走査)。
Last modified: Oct. 1, 2002