2009S2-006
分離型X線干渉計を用いた生体及び材料イメージングに関する研究

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●基本情報
 ●実験責任者:武田 徹(筑波大)
 ●課題有効期間:2009/4〜2012/3
 ●実験ステーション:14C1
 ●関連課題:2005S2-001(分離型X線干渉計を用いた位相コントラスト法による生体in vivo観察-part III-)
       2002S2-001(分離型X線干渉計を用いた位相コントラスト法による生体in vivo 観察)
       99S2-002(分離型X線干渉計を用いた位相コントラスト法によるin vivo 生体観察)

●課題の概要
 位相コントラストX線イメージング法は、従来の吸収コントラストイメージング法に比べて感度が約1000倍高く、軽元素で構成された試料でも高感度に三次元的に観察することができる。このため、生体軟部組織等の生物や医学的な試料、ガスハイドレート等の無機・有機複合結晶、及びポリマー等の各種有機材料や炭素材料などの内部構造を、詳細かつ定量的に解析する手法として期待されている。現在、複数の位相コントラストイメージング法が研究されているが、このうち感度が最も高い方法が「X線干渉計」を用いた方法である。我々はこの方法に着目し、分離型X線干渉計を採用した大視野のイメージングシステムを構築し、生きた生体に移植した癌に対する抗がん剤の効果の経時的解析や、アルツハイマー病モデルマウス脳内のβアミロイドの画像化、さらには、南極氷床氷内のエアハイドレート等の三次元可視化に成功した。
 本課題では、従来より高いエネルギー(35 keV以上)のX線を利用したイメージング技術を確立と、病態や治療効果の解析に不可欠な統計的処理を可能とする多数の試料を短時間に取得するシステムを構築し、本法を研究開発段階から実用応用段階に発展させることを目的とした各種イメージングを行う。高エネルギー化により、物質透過能が向上し、大きな生体標本をそのままで観察可能になる。また、密度差の大きな各種の工業材料の観察も可能になると期待できる。さらに、遮熱板による吸収が低減するため、特殊環境下(低温~高温)の試料もより高精細に観察することができる。また、多数の対象を統計的に定量解析可能なイメージングシステムにより、たとえば、現在の医学生物学領域の研究で不可欠である病変組織や臓器発生の経時的変化、種々の薬剤使用時の変化などを画像上で定量評価することにより、病変構造の変化率、局所形態の変化率、治療効果判定が可能となる。
上記目的の達成のためには、X線干渉計のより一層の安定化が必須で、従来の大視野イメージングシステムをBL-14Cに常設して温度ドリフト等の低減を図ると同時に、除振機構の高性能化やフィードバック機構の高機能化を行い、X線干渉計をサブnrad以下で安定化させる。同時に新規単色器の導入による測定時間の短縮や、システム制御系やデータ処理系等の整備による高機能化を行う。これにより、より広範なユーザーの参加及び利用も促進し、本イメージング法のより一層の発展を図る。

●成果発表
 ●論文


 ●PF Activity Report

 ●PFシンポジウム