PF-AR高度化改造計画の現状 ‐ビームライン関係‐
(PHOTON FACTORY NEWS No.19 Vol.3 Nobember 2001より)

物質科学第二研究系 河田 洋

PF-ARの高度化改造計画も半ばにさしかかり、加速器の設置作業(真空ダクト、ビーム位置モニター、ステアリングマグネット等)が一段落し始めた7月頃から急ピッチでビームライン関係の作業が始まりました。図1は高度化改造計画で達成されるビームラインを示す平面図です。

                            図1 PF-AR高度化改造計画後のビームライン、および実験ホールの平面図。
                               実線は2002年秋には建設が終了するビームライン、 点線は将来建設予定のビームラインを示す。

 

先ず第1に、北西実験棟が現在急ピッチで建設されています。北西棟は北棟と西棟の間の部分に実験ホールを建設するものです。4月から建設工事がスタートしておりましたが、6月に基礎の杭打ち作業が終了後、土砂の取り除き作業が行われ、7月には既存アーク部のコンクリート構造物が姿を完全に現しました。9月には北西棟の基礎のコンクリート打設が行われ、引き続いて実験ホールの床レベルのコンクリート打設が行われ、現時点では既存アーク部の加速器からの放射光取出しのための穴あけ作業、及び北西棟と既存アーク部との通路となるシールド扉の穴あけ作業が行われています。写真1は9月中旬頃の北西棟工事現場の様子を示しています。前方の建物は西棟でそれから円弧状の構造物は既存アーク部です。写真2は10月上旬の北西棟実験フロアーの放射光取出し穴の測量中の風景です。前方の建物はPF-AR西棟、アーク状の構造物は既存PF-ARトンネル部を示しています。10月末にはこの既存アーク部の外側に北西棟の内側のシールド壁が打設され、12月末には2002年1月からの運転開始に向けて、シールド扉のインターロック、実験室の入室管理を含めて整備される予定です。北西棟の建設自身は1月以降も外装工事が行われ、3月末に竣工式を迎える予定で進行しています。

写真1  9月中旬の北西棟建設現場

 

 

 

写真2 10月上旬の北西棟実験フロアーの放射光取出し
     穴の測量中の風景

第2にNW2ビームラインの建設です。図2にビームライン概念図を示しますが、このビームラインは高強度XAFS及び単バンチ運転を利用した時分割XAFSを念頭において建設されています。挿入光源は周期長40mmの真空封止型アンジュレーターでオプションとしてテーパード・アンジュレーターの機能を有し、時分割XAFSを実現化するDXAFSに適したワイドバンドのエネルギースペクトルが得られるようになっています。挿入光源の設置は10月下旬の予定です。一方フロントエンド白色X線スリット、分光器、液体窒素循環冷却システム、X線集光ミラー等の設置は終了し、後はインターロックの接続を残すだけとなりつつあります。写真3は実験フロアーを示していて、液体窒素循環システムが設置されているのが判ります。また、写真4は上方から見たNW2ビームラインと放射線シールド壁を挟んでPF-AR加速器を示しています。このビームラインは1月からのPF-ARの運転再開後、ファーストビームを取り出すべく建設が進められています。

図2 NW2ビームラインの概念図

 

写真3  9月中旬のNW2ビームライン実験ホールの様子

 

       写真4 上方から見たNW2ビームライン(左側)と放射線
            シールド壁を挟んでPF-AR加速器(右側)

 

その他、既存部のビームラインにおきましてもNE1ではフロントエンドのアブゾーバーの更新作業、NE3ではインターロックシステムの更新作業がすでに終了し、NE5でもリング真空ダクト改造のために一時退避したフロントエンドの設置作業の最終工程であるベーキングが現在行われつつあります。また、図1に示す北西棟に建設される予定であるタンパク質構造解析用のNW12ビームラインも主なコンポーネントの入札が終了し、北西棟の竣工式の後に設置開始ができるように進められています。

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