放射光の輝度

 


放射光(Synchrotron Radiation)は荷電粒子が加速度を受けたときに発する電磁波で、遠赤外から硬X線におよぶ広いスペクトルを示します。

放射光科学研究施設ではこのうち、真空紫外線より短波長(高エネルギー)の領域の電磁波を利用した実験ができます。光源用の加速器としては通常2.5GeVで運転されるPFリングと6.5GeVで運転されるPF-AR(Advanced Ring)の二つがあります。それぞれの実験室の平面図を示します。

 

Beamlines at PF 2.5GeV Ring and PF-AR


PFリングは通常マルチバンチで運転され、そのバンチ間隔は約2nsです。また通常の偏向電磁石を光源とするビームライン(BL-3BC、4、6、7、8、9、10、11、12、15、18、20、27)では上の図のPF-Bendに示されるように主に25keV以下のX線、軟X線、真空紫外線が利用できます。

各ビームラインでは実験目的に応じた分光器を設置し、目的の光を取り出しています。これらのビームラインで得られる光は水平面内に偏光しています。このほかにも超伝導のウィグラーを光源として、より短波長(高エネルギー)で縦方向に偏光したX線を得られるBL-14、アンジュレーターを光源とし、波長分布は不連続だが指向性が高く、かつ輝度の高い真空紫外光、軟X線の得られるBL-2、13、16、19、28があります。このうち、BL-16とBL-28では円偏光した真空紫外光、軟X線も利用できます。さらに、磁石列を真空中に入れて小さなギャップを実現することによりX線を利用できるアンジュレーター光源のBL-1、3A、17が建設されています。放射光利用実験時は、通常トップアップモード(常に電流の減少分を入射して一定値に保つモード)で運転されます。

PFリングは上記の運転モードの他にもシングルバンチモード(パルス間隔が624ns)あるいはハイブリッドモード(1つのバンチに50mAを入射し、離れたバンチに400mAを蓄積するモード)での運転もなされています。

PF-ARでは電子ビームのエネルギーが6.5GeVと高いため、PFリングよりエネルギーの高いスペクトルが得られます。NE5、NE7、NW10は偏向電磁石を光源としますが、NE3、NW2、NW12、NW14ではアンジュレーター、NE1ではマルチポールウィグラーを光源としています。また、PF-ARは通常シングルバンチモードで運転されており、1.3μs間隔のパルス光が利用できます。


Last modified: 2012-08-27 by