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 【開催主旨】

 紫外線からX線までの強度の高い連続光源である放射光は放射線の生物影響発現のメカニズムを研究するためには理想の光源である。波長可変性は特定元素への光子吸収、それによる局所的なエネルギー付与を誘発することを可能とする。放射線生物ユーザーグループはこの手法を用いて生体構成元素あるいは外部から投与した元素に特異的に光子内殻吸収を起こさせて、それに伴うオージェ効果の研究をこれまで続けて多くの成果を報告してきた。オージェ効果による局所的かつ不均一なエネルギー付与は、マクロな線量であるグレイ単位の吸収線量では理解できない現象であり、この不均一性による放射線作用の増感はがん治療への応用という観点から最近着目されている。
 また最近は放射光の高い指向性を利用してマイクロビームを形成し、細胞内の任意の部位にエネルギー付与を起こすことが可能となり、細胞の放射線に対する応答を決める各種のシグナル伝達機構の研究が行われている。この手法を用いると細胞内の任意の器官、あるいは細胞組織中の任意の細胞にエネルギー付与を起こすことが出来るため、放射線照射された細胞の近傍にいて直接照射されていない細胞(バイスタンダー細胞)への効果が実験的に研究できるので、人類が進化してきた低線量放射線存在下での生物影響(リスク)を評価する上で必須の手法となっている。  
 エネルギー付与現象は放射線の生物作用の出発点であり、その空間分布の不均一性は生成した分子損傷に対する細胞の修復作用を決める重要な要素なので、これらの研究はメカニズム解明に非常に貢献すると考えられる。放射光を用いて可能となる分子レベルおよび細胞レベルに於けるエネルギー付与の不均一性にともなう生物影響発現研究の最先端に関する情報交換を行うとともに、今後の研究の展望を議論するために研究会の開催を申請したい。PFのユーザー以外にも、物理化学的な見地に立つ研究者やコンピュータ・シミュレーションの研究者など周辺領域の参加者を得ることで、深く掘り下げた議論を行いたい。

会期: 2011年7月14日(木)〜15日(金)

会場: PF研究棟2階会議室

提案者: 横谷明徳(JAEA)、小林克己(KEK)

世話人: 宇佐美徳子(PF)

 

 Last Update 07/06/2011