PF研究会「VUV領域放射光を用いた物性基礎研究の最前線」
物質を構成する原子分子の振動子強度の大部分は直入射分光器が威力を発揮する光エネルギー領域に集中しています。この領域いわゆる真空紫外(Vacuum
ultraviolet)領域の光吸収は物質の性質を決定する価電子の遷移によって引き起こされており、物性研究における真空紫外光の重要性は言うまでもないことです。真空紫外領域における放射光利用研究の歴史は非常に長く、日本においてもINSOR以来およそ30年近い歴史を有し、原子分子科学、固体物性等の基礎物性科学ばかりでなく、生命科学、量子ナノ構造を有する半導体物性などの応用分野にわたり広く用いられてきています。PFでは、このエネルギー領域をカバーするビームラインとしては、2台の瀬谷波岡型分光器および1台の直入射型分光器が稼動していますが、これらのビームラインはいずれも10年選手でビームラインとしては世界的な競争力を失ってきていることは否めません。世界に眼を転じ
て見ますと、ALS、LUREおよびSSRLでは、アンジュレータ+6m直入射型分光器で大強度かつ高分解能のビームラインを実現し、精力的な研究が行われつつあります。例えば、原子分子科学では、高単色光により回転構造まで分解した光電子分光が可能となり、大強度光
により希薄な試料あるいは断面積の小さな素過程を対象とした研究が可能になります。 また、固体物性の分野では、近年の光電子分光装置の急速な高度化によって超高分解能角度分解光電子分光が可能になり、超伝導体をはじめとした強相関電子系におけるフェルミオロジーの研究に決定的な情報を与える結果が得られるようになってきています。
ここに挙げた研究には国内の研究者の寄与が大きいにもかかわらず、アンジュレータベースの6mクラスの直入射型分光ラインが存在しないために国内研究者のフラストレーションは
大きく なってきていると考えられます。 高エネルギー加速器研究機構 PF研究会参加申し込み PF研究会に参加します。 プログラム(暫定)はこちらをご覧下さい。 |