PF将来計画に関する研究会2
「X線位相利用計測における最近の展開」


提案代表者 東大・工 百生 敦

X線の波動性は結晶によるブラッグ回折で古くから利用されていますが、マクロなスケールで波動性が見られることはあまりありませんでした。最近になって、シンクロトロン放射光源の高輝度・低エミッタンス化、X線光学素子および検出器の発展により、マクロなスケールにおいてX線の波動性が見えるようになってきております。これにより、1990年代半ばからX線位相利用計測の研究が活発化している状況があります。X線の位相には重要な情報が含まれているはずであり、多くの場面でこれまで捨てられてきた位相情報をうまく抽出しようとするこのような研究は、21世紀のX線利用分野に大きな影響を与えるであろうと期待されます。実際、X線位相光学や位相コントラストイメージングの分野において、多くの研究成果が報告されるようになっております。また、PFでは現在、エネルギー回収型ライナックを光源とする将来計画を検討していますが、このような次世代光源が実現されれば、この分野のさらなる発展が期待されます。

本研究会はこの分野の研究を推進している方々に集っていただき、最新の研究成果を前に議論・交流を深め、PFのみならず国内外における当該研究の更なる活性化に貢献することを目的とします。これまでにこのような切り口での研究会が行われたことがなく、皆様のご協力により実り多い研究会にしたいと考えておりますので、是非とも多くの方々のご参加をお願いいたします。

研究会の開催日、場所などは下記のとおりです。ご参加を希望される方は、下記の世話人までご連絡下さい。詳細なプログラムなどは随時ホームページに掲載致しますのでご覧下さい。

http://mml.t.u-tokyo.ac.jp/~kenkyukai/

開催日: 平成14年10月31日(木)、11月1日(金)
場所 : 高エネルギー加速器研究機構
4号館セミナーホール
連絡先: 物質構造科学研究所、放射光研究施設
平野馨一
E-mail:keiichi.hirano@kek.jp
FAX: 0298-64-2801

参加申込みフォーム 


【プログラム案】

10月31日(木)
08:30       受付開始
09:00 - 09:10 開会の挨拶 (百生敦、東大・工)
09:10 - 09:40 「軟X線の1次および2次コヒーレンス測定で何が見えるか」 宮原恒あき(都立大・理)
09:40 - 10:10 「X線強度干渉法」 矢橋牧名(JASRI/SPring-8)
10:10 - 10:40 「強度相関を用いた干渉計測」 玉作賢治(理研・播磨)
10:40 - 10:55 (休憩)
10:55 - 11:25 「X線干渉計のメトロロジーへの応用」 中山貫(産総研・計測標準)
11:25 - 11:55 「多層膜冷中性子干渉計の新展開」 北口雅暁(京大・理)
11:55 - 12:25 「冷中性子スピン干渉計とその物理」 日野正裕(京大・原子炉)
12:25 - 13:30 (昼食)
13:45 - 14:15 「高空間分解能型X線干渉計の開発およびそれによる生体試料のマイクロ位相トモグラフィ」
         小山一郎(東大・工)
14:15 - 14:45 「分離型X線干渉計を用いた大視野位相コントラストX線撮像装置の開発」 
         米山明男(日立・基礎研)
14:45 - 15:15 「X線干渉計を用いた生体イメージングの試み」 武田徹(筑波大・臨床医学)
15:15 - 15:30 (休憩)
15:30 - 16:00 「X線干渉を利用した原子像の再構成」 高橋敏男(東大・物性研)
16:00 - 16:30 「蛍光X線ホログラフィーの電子材料への応用」 林好一(東北大・金研)
16:30 - 17:00 「光学的硬X線ホログラフィー顕微鏡の開発」 渡辺紀生(筑波大・物理工学)
17:00 - 17:30 「オーバーサンプリング法を用いた単粒子X線回折」 西野吉則(理研・播磨)
17:45 - 20:00 (懇親会)

11月1日(金)
09:00 - 09:30 「ゼルニケ型硬X線位相差顕微鏡による透明試料の観察」 篭島靖(姫工大・理)
09:30 - 10:00 「走査顕微鏡光学系を利用した位相計測」 高野秀和(JASRI/SPring-8)
10:00 - 10:30 「Deterministic retrieval of surface waviness using X-ray phase-contrast imaging technique」
         Alexei Souvorov(JASRI/SPring-8)
10:30 - 10:45 (休憩)
10:45 - 11:15 「整形外科・救急外科領域における屈折コントラスト画像法の適用」 森浩一(茨城県立医療大)
11:15 - 11:45 「X線プリズムを用いた二光束干渉計」 鈴木芳生(JASRI/SPring-8)
11:45 - 12:15 「X線プリズムを用いたシェアリング干渉計による位相決定」 香村芳樹(理研・播磨)
12:15 - 13:30 (昼食)
13:30 - 14:00 「X線暗視野法の開発の現状」 杉山弘(KEK/PF)
14:00 - 14:30 「X線偏光イメージングの現状と偏光干渉イメージングへの展望」 沖津康平(東大・工)
14:30 - 15:00 「次世代放射光光源と利用研究」 平野馨一(KEK/PF)
15:00 - 総合討論「今後の展望とPF将来計画」、閉会



Last modified 2003-02-12 by pfw3-admin@pfiqst.kek.jp