5月12日(木) |
8:30
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受付開始 |
9:00-9:10
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開会の挨拶 |
座長:平野馨一(PF) |
9:10-9:40
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石川哲也
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理研・播磨研
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SPring-8 Compact SASE Source (SCSS) |
理化学研究所では、KEKで開発されてきたCバンド線型加速器と、SPrig-8で開発された真空封止型アンジュレータの組み合わせによる、非常にコンパクトなSASE型X線自由電子レーザー(XFEL)の開発が進められている。本年度250Me線型加速器による波長60nmでの発振につづき、来年度から8GeV線型加速器での0.1nm以下の発振波長を持つXFELを建設し、2009年に完成する予定である。ここでは、計画の概要を紹介するとともに、XFELでのサイエンスの方向に関して議論したい。 |
9:40-10:05
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西野吉則
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理研・播磨研
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X線回折顕微鏡における逐次的像再生 |
X線回折顕微鏡は、結晶試料を必要としない、X線回折に基づく構造解析法である。近年我々のグループで開発された、反復的に回折強度を規格化するデータ解析手法等により、X線回折データのみからの構造決定が可能となり、実験時に逐次的にデータ解析を行う技術が整った。本講演では、現在我々が進めている、本顕微鏡の高空間分解化、逐次的データ解析の高速化への取り組みについても発表をする。 |
10:05-10:30
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香村芳樹
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理研・播磨研
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回折顕微鏡の電子密度回復に照射波分布が与える影響 |
平面波照射の回折顕微鏡では、試料の電子密度分布と、far-fieldの像面での振幅が単純なFourier変換で対応付けされる。実験では、照射領域を減らすため、小さいピンホールか、集光ビームが使われ、試料照射波が歪められる事が多い。小さいピンホールと、ランダムネットワーク構造をもった試料を仮定して、シミュレーションを行った所、ピンホールのFresnel数(半径、距離)、調整誤差で、位相再生の精度は、大きく影響を受けた。今後の実験に役立てたい。 |
10:30-10:45
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山田悠介
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KEK・PF
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単分子構造解析における生体分子表面の水分子の影響 |
現在開発が進められているXFELのような次世代光源では、生体分子の単分子構造解析の可能性が示唆されており、その実験手法についてもいくつか提案がなされている。3次元の回折像を得るためには2次元の回折イメージの積算を行う必要があるが、その際に測定試料の均一性が大きな問題となってくる。その均一性を乱す要因のひとつとして生体分子の周りを取り囲む水分子があり、そのような水分子が回折像に与える影響について考察を行った。 |
10:45-11:00
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休 憩 |
座長:百生敦(東大) |
11:00-11:25
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玉作賢治
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理研・播磨研
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高分解能フーリエX線分光における位相問題 |
高分解能フーリエX線分光は、結晶分光器と時間領域測定の間に開いているエネルギー分解能のギャップ(10ueV〜1meV)を埋める分光法である。しかしその高分解能のために現実的にはインターフェログラムの位相を測定できないという位相問題を生じる。講演では実際に測定されたインターフェログラムと計算されたものの2つを使って、位相回復を行った結果について報告する。また時間に余裕があれば、パラメトリック変換の応用で直面している位相問題やBragg反射におけるBerry位相の影響などについても報告したい。 |
11:25-11:50
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矢橋牧名
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JASRI
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XFELと強度干渉法 |
XFELの大きな特長は高い空間コヒーレンスと超短パルスである. 強度干渉法は, これらの特性を高精度で診断できる手法であると期待される.
さらに, シーディング技術等によって光源が高度化された場合の検証手段としても極めて重要である.技術的には, 現在の第3世代放射光では専ら高分解能モノクロメータとコインシデンス法の組み合わせが利用されているが,
XFELでは, 高いボース縮重度を活かして, ポリクロメータとシングルショット計測の組み合わせが主流になるであろう. |
11:50-12:15
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山崎裕史
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JASRI
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完全結晶を利用したX線コヒーレンスの解析と加工 |
X線位相利用計測の進展に伴って、コヒーレンスを効率よく伝達するビームライン光学系の開発が要求されている。X線を加工する最も標準的な光学素子である結晶に対して、X線回折をコヒーレンスの観点で再構築した。その結果から、完全結晶の回折におけるコヒーレンスの変化を定式化し、コヒーレンスの加工のための基礎を作った。また、完全結晶の回折強度曲線からX線の相互コヒーレンス関数を定量的に解析する手法も開発した。これらは、次世代放射光の基盤的光学系を設計するため基礎になる。 |
12:15-13:35
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昼 食 |
座長:百生敦(東大) |
13:35-14:05
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並河一道
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東京学芸大学
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X線スペックルの利用 |
コヒーレントなX線が、空間的に不均一で時間的なゆらぎのある物質系に照射されたとき現れるスペックル現像の一般的な性質について考察する。この現象をチタン酸バリウムの常誘電相―強誘電相間相転移に応用して分かった相転点付近における分極クラスターの存在とその振舞について紹介する。 X線レーザーによるスペックル現像の時間相関分光法の原理を紹介し、将来の発展の可能性を探る。 |
14:05-14:35
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芳賀恒之
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NTTマイクロシステムインテグレーション研究所
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ミロー型干渉計を用いた軟X線干渉計測 |
波長13nmの極端紫外光を用いた次世代の半導体リソグラフィ(EUVL: Extreme Ultraviolet
Lithography)で用いられる多層膜反射型マスクの欠陥検査方式として、露光波長であるEUVにより直接マスクを観察することができるミロー型干渉顕微鏡システムを開発した1)。講演では、多層膜ビームスプリッタを応用した本システムの設計・製作ならびに、EUVLマスクの検査結果について紹介する。
参考文献1) T. Haga, H. Takenaka, M. Fukuda, J. Vac. Sci. Technol. B
18, 2916 (2000). |
14:35-15:05
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新部正人
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兵庫県立大学
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軟X線干渉法によるEUVL投影光学系の波面収差計測 |
次世代半導体露光技術として開発中の極紫外線リソグラフィー(EUVL)技術においては、投影光学系の波面収差を0.1
nmの精度で計測する必要がある。このためニュースバル放射光施設では、露光波長(λ=13.5 nm)を用いた光学系の波面収差計測法を開発している。上記の精度で参照球面を加工することは困難であるため、参照球面を用いない干渉計測法として、加工することは困難であるため、参照球面を用いない干渉計測法として、点回折干渉(PDI)法およびシアリング干渉法に注目し、これらを1台の装置で実験できるシステムを開発した。 |
15:05-15:20
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休 憩 |
座長:青木貞雄(筑波大) |
15:20-15:50
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山田廣成
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立命館大学
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卓上型放射光装置”みらくる”の放射光特性とイメージング利用 |
みらくる6Xは卓上型高輝度X線発生装置である。シンクロトロンの電子軌道上に微細ターゲットを置くという方法で、低エネルギー、常電導、超小型シンクロトロンであるにもかかわらず高輝度硬X線ビームの発生に成功した。光源点の大きさは、電子ビームのサイズではなく、ターゲットサイズで決まるために、最小と言って良い1ミクロンφという断面の光源点が実現した。微少光源点のみらくる6Xは極めて高品質のX線を発生している。結果として、例えば、試料と検出器の間を離すだけで20倍の鮮明な拡大写真を位相コントラストで撮像することができ、1mm癌の形状までをとらえることができた。 |
15:50-16:15
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本田 凡
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コニカミノルタエムジー滑J発センター
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位相コントラスト技術の乳房撮影への応用 |
可干渉性のないX線による位相コントラスト発現のシミュレイション式を、屈折理論を用いて導出した。そして100μm焦点のMo管を用いる乳房撮影にこの理論式を適用して検証したところ、位相コントラストによって高画質の乳房画像が得られることがわかった。そこで位相コントラスト技術を用いたディジタル乳房撮影システムを開発した。この位相コントラスト技術の適用と画質設計について概説する。 |
16:15-16:40
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百生 敦
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東京大学
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タルボ干渉計による位相イメージング |
透過型回折格子2枚を用いるX線タルボ干渉計を新しいX線位相イメージング手法として利用する方法を提案している。これは新規な放射光イメージング手法であると同時に、広いバンド幅のコーンビームに適用できることが特徴から、小型X線源を用いた医療応用も期待される。振幅型回折格子の製作が一つの技術課題であるが、そのための高アスペクト比のパターン形成に、LIGAの適用を開始している。X線タルボ干渉計の原理と位相イメージング例を紹介する。 |
16:40-16:55
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休 憩 |
座長:篭島靖(兵庫大) |
16:55-17:20
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鈴木芳生
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JASRI
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プリズムとゾーンプレートを用いた結像ホログラフィー |
LeithとUpatnieksによるoff-axis参照波のホログラフィーは、共役像の重なりがなく正しい波面再生が可能であり、可視光では一般的な計測法である。X線領域でもプリズムを用いて同一の光学系が可能であるが、空間分解能が検出器の解像度で制限され、高分解能を達成することが困難である。近年、硬X線領域の結像素子の進歩は著しく、100nm程度の分解能が容易に達成可能になっている。このX線結像素子とプリズムによる波面分割干渉計の組み合わせで、高分解能X線ホログラフィーが可能である。本発表では、そのなかのひとつであるX線結像ホログラフィー顕微鏡について報告する。 |
17:20-17:45
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竹内晃久
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JASRI
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屈折プリズムを用いたX線二光束干渉計の開発 |
屈折プリズムを波面分割二光束干渉計として用いたX線ホログラフィの開発を行っている。ホログラフィのセットアップとしては、いわゆる可視光領域におけるLeith-Upatnieks型二光束ホログラフィと同一のものである。放射光の準平行光を利用した二光束ホログラフィ、並びに、X線集光素子であるフレネルゾーンプレートを用いた球面波二光束ホログラフィの実験を行った。得られたホログラムは、計算機上で再構成した。球面波ホログラフィにおいて、空間分解能約1ミクロンの再構成像が得られた。 |
18:00-20:00
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懇親会 会場:国際交流センター 交流ラウンジ2 |
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5月13日(金) |
座長:鈴木芳生(JASRI) |
9:00-9:30
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青木貞雄
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筑波大学
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拡大視野硬X線位相差顕微鏡による生体試料観察 |
波長0.1から0.2nmの]線を用いてゼルニケ型位相差顕微鏡の開発を行っている。ゾーンプレートを]線結像に用いた場合、観察視野はゾ―ンプレート径の半分程度であり、比較的大きな試料を一度に観察できない。その問題を解決するために、結像面での最大矩形視野を決め、試料をその辺の大きさに対応させて走査し、それぞれの画像をつなぎ合わせて大きな視野を得る「結像走査型位相差顕微鏡」を構築した。 |
9:30-9:55
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小山貴久
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兵庫県立大学
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硬X線顕微干渉計による高空間分解能位相計測 |
我々はSPring-8兵庫県ビームラインにおいて、同一基板上の2つの位相ゾーンプレートからなるツインゾーンプレートを用いた波面分割型のX線顕微干渉計の光学系を構築し、試料の高空間分解能位相計測を試みた。その結果、9
keVのX線に対して60%に達する可視度の干渉縞の生成に成功し、硬X線に対して透明な軽元素から構成される試料の定量的な位相シフト像を160
nmの空間分解能で観察した。 |
9:55-10:20
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渡辺紀生
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筑波大学
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ゾーンプレートを用いたX線干渉顕微鏡の開発 |
ゾーンプレートには、通常結像に用いる1次回折光の他に、ほぼ同じ強度を持つ−1次回折光が付随する。同じスペックを持つ2枚のゾーンプレートを焦点距離の2倍の距離をおいて光軸上に並べると、1枚目の1次光と2枚目の−1次光を干渉させて干渉顕微鏡を作成することができる。SPring-8
BL20XUにおいて結像に成功した、このような同軸上で参照光を干渉させるタイプの硬X線干渉顕微鏡を紹介する。 |
10:20-10:35
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休 憩 |
座長:鈴木芳生(JASRI) |
10:35-11:00
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高野秀和
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兵庫県立大学
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X線集光ビームを利用した位相計測〜トモグラフィへの拡張〜 |
これまで走査X線顕微鏡光学系を利用した位相計測技術の開発を行ってきており、高い空間分解能を達成しているが、X線の果たすべき最も重要な役割の一つは内部微細構造の可視化である。位相CTは最も有望なアプローチであり、これまでの手法にCT法を応用する事で、高空間分解位相CTを試みた。本講演では手法の紹介及び、現状における空間分解能、感度等の性能について説明を行う。 |
11:00-11:25
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林 好一
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東北大学金属材料研究所
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定量化に向けた蛍光X線ホログラフィーの最近の進展 |
蛍光X線ホログラフィーは、特定元素周辺の原子配列を可見化できる構造解析技術であり、近年、その進展は目覚ましい。最近では、X線の異常散乱を利用した複素X線ホログラフィーを開発し、特定元素のみを強調してイメージングできるようになった。また、XAFSで使われる逆フーリエ変換法を蛍光X線ホログラフィーに適用し、0.01Åの精度で原子間距離を決定出来るようになった。これらの技術より、X線ホログラフィーは単なるイメージングだけではなく、元素の占有率や原子位置に関して、より定量的な解析が行えるようになった。 |
11:25-12:45
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昼 食 |
座長:平野馨一(PF) |
12:45-13:10
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百生 敦
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東京大学
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マイクロ位相CTによる生体組織及びポリマーブレンドの観察 |
LLL型X線干渉計によるマイクロ位相CTを高分子ブレンド系の観察に応用した。高分子は単体よりも混合体として利用される場合が多いが、実際は完全に混じり合うわけではなく、相分離している。その相分離構造が力学的な特性を決める。従来は技術的簡便性から二次元的な観察評価が主に行われているが、本来は三次元観察が必要であることが明らかである。今回、ポリスチレンとポリメチルメタクリレートのブレンドについてマイクロ位相CTによる三次元観察の有効性を示したので報告する。 |
13:10-13:35
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武田 徹
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筑波大学
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位相X線イメージングを用いた生体試料観察 |
位相コントラスト法は、従来の吸収コントラスト法より約千倍感度が高い。現在、幾つかの位相コントラスト法が研究されているが、最も感度が高く、生体観察に適している干渉計を用いた手法を研究している。本法は、軽元素からなる生体軟部組織を高空間分解能な3次元画像として描出できる。実際、生体組織片の位相CTによるin
vitro観察、ヌードマウスに移植した癌のin vivo位相CT観察も可能となってきた。高速画像収集により生きた状態での微小腫瘍、治療効果判定に向けた新しい応用研究が期待される。 |
13:35-14:00
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水野 薫
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島根大学
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X線屈折コントラスト法の金属学への応用 |
水素脆化から水素吸蔵合金の開発に及ぶ広範囲の研究において,金属中の水素化物の直接観察の必要性が叫ばれている。しかし,従来の手法では特殊な場合を除き,直接観察は不可能であった。
そこでX線Diffraction-enhanced法により,水素焼鈍したチタン試料および電解チャージ法により表面に水素化物を形成させたチタン試料の断面の観察を行った。その結果,どの試料においても水素化物を観察することができた。 |
14:00-14:25
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杉山 弘
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KEK・PF
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臨床応用のためのX線暗視野法の開発 |
物体でわずかに屈折した成分だけをラウエ型アナライザー結晶によって取り出し画像化するX線暗視野法に関して、原理と応用例について論じる。現在9cm角程度の視野を利用して献体による人体の一部を実際に撮影し,皮膚や筋肉のある状態で関節軟骨の撮影に成功している。実際の臨床応用に向けての課題なども含めてX線暗視野法の現状について報告する。 |
14:25
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総合討論 |
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閉会 |