G切り替え/調整


・Gは、3種類を並べられる構造となっており、切り替えは手動の並進機構(目盛り付き)で行う。なお、切り替え時には、焦点距離(S2位置)の調整が必要である。

刻線密度直線導入器目盛り
300 l/mm99627.0
800 l/mm99454.7
1200 l/mm99540.9

・Gの回転(エネルギー走査)は、サインバーシステムによってパルスモータ駆動され、その位置はリニアエンコーダで読みとることができる。詳しくは下記の「BL-11A駆動について」参照のこと。
・また、パソコンを用いて駆動することが可能であり、XAFS測定プログラムが用意されている。このプログラムでは、使わないところへの送りに注意!
・光学素子の汚れを防ぐため、できるかぎり0次光をビームラインの末端まで通すことは避けるものとするが、どうしても必要な場合は短時間に限り0次光を通すことも可能である。その場合は、パソコンのプログラムで波長lambda=0に送ればよいが、実際には多少ずれがあるので、最終的にはマニュアルで調整する。
・Gの、あおり(roll)および面内回転(yaw)を調整することも可能であるが、いずれも“初期調整済み”であるので動かしてはならない。


*BL-11A駆動について

[1]駆動機構と波長計算式
BL−11A分光器の波長走査は、回折格子の回転のみによって行われるが、その機構としてはいわゆるサインバーが用いられている。したがって、モーター1台によってサインアームの押し棒の並進運動を制御し、その位置をリニアエンコーダで読みとることになる。このときの位置と波長の変換式は次の通りである。

λ=(2d/m) cos K sin [ sin-1 (X−X0)/L−θ
X=X+L sin [θ+ sin-1 {mλ/(2dcos K)}]

ただし、λ:波長、X:位置(回折格子によってビームが振り上げられる方向を正とする)、m:次数、d:刻線間隔(=1/n;n:刻線密度)、K:偏角の半分、X:基準位置、L:アームの長さ、θ:基準角度である。mは通常+1であるが、分光器のデザインとしては−1次とすることも可能である。後の5つは回折格子や球面鏡によって変わるパラメータで、2002年10月時点では以下の値を用いている。

JY1200本/M1島津800本/M2島津800本/M1JY300本/M2
n[/mm]1198.07900799.85859799.5453299.9461
K[deg]88.2000086.8361788.2234386.82209
[mm]−12.41152−2.34649−3.603850.29807
L[mm]411.43120409.29600410.99700411.48975
θ[deg]−1.89894−0.73783−1.94942−1.56438

[2]パルスモーターコントローラー
パルスモーターは、ツジ電子PM4C-05-1によって制御されている。1パルスあたりの移動量は0.2μであり、Xが減少する方向がCWである。

[3]エンコーダ
位置の読みとりにはHeidenhainのリニアエンコーダを用いており、その読みとり器ND282の出力は、パソコンに取り込まれている。

[4]分光器制御・XAFS測定プログラム
前述の通り、波長駆動は1モータで位置の読み取りもエンコーダ1つのみであり、制御プログラムの作成は容易であると思われるので、それぞれの実験に合わせて制作したものを利用してよい(事前に充分な動作チェックを行うことが求められることは言うまでもない)。現在標準的に用いている制御ソフトは、XAFS測定用(PF XAFSグループが作成し、制御グループがBL-11A用に修整したもの)のものである。
PC起動後、blcoにログインする(パスワードはbl-11a)。デスクトップのmanagerstartをダブルクリックしてSTARSシステムを起動した後、BL11A-GUI.New SpeedUpVersionを立ち上げる(詳しくは
XAFS測定プログラムマニュアル[PDF 1.7MB]参照)。

[5]エネルギー軸較正
現在は、上記プログラムとは別であり、デスクトップのEnergyPresetをダブルクリックする。現在のエネルギー値を入力すると較正が行われる。

Last modified: October 20, 2011