院内感染原因菌の「薬剤排出ポンプ」の構造解析に成功 〜BL-6A, AR-NW12 を利用して〜 2004年6月24日 東海大学医学部の中江太治(なかえ たいじ)教授の研究チームは,大阪大学蛋白質研究所の中川敦史(なかがわ あつし)教授の研究チームと共同研究を行い,PFのBL-6AとAR-NW12およびSPring-8のBL44XUを用いて,緑膿菌(りょくのうきん)の3つの薬剤排出ポンプのうち「MexA蛋白」と「OprM蛋白」の構造解析に成功しました。緑膿菌は院内感染を起こす原因菌のひとつであり,今回構造がわかったタンパク質は,緑膿菌が抗生物質への耐性を持つ鍵となるタンパク質です。 病院で治療を受けている患者は免疫機能が低下していることが多く,通常健康な人には感染しない細菌やウィルスが感染することがあります。またこれらの院内感染菌は薬剤に対する耐性を有することが多く,院内感染の予防や対策を難しくしています。院内感染を起こす緑膿菌,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(通称MRSA),セラチヤ菌などは,細胞内に浸透した抗生物質を細胞の外にくみ出す薬剤排出ポンプを有しています。薬剤排出ポンプは異なった種類の抗生物質をくみ出すことができることから,院内感染菌が多くの薬剤に耐性を持つ原因となります。 詳しくは以下の資料をごらんください。 H. Akama, T. Matsuura, S. Kashiwagi, H. Yoneyama, S. Narita, T. Tsukihara, A. Nakagawa and T. Nakae : Crystal Structure of the Membrane Fusion Protein, MexA, of the Multidrug Transporter in Pseudomonas aeruginosa. J. Biol. Chem., 279, 25939-25942 (2004). NIKKEI NET 日経プレスリリース Yahoo!ニュース <院内感染>原因たんぱく質の構造解析 東海大など
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