1900Kまで試料を高温加熱できる
高分解能放射光粉末回折システムを開発

2004年10月26日


東京工業大学の八島正知(やしま・まさとも)助教授とPF放射光科学第二研究系助手の田中雅彦(たなか・まさひこ)博士,放射光科学第一研究系技師の森丈晴(もり・たけはる)氏は,空気中で1900Kまで試料を加熱しながら高分解能放射光粉末回折測定が可能な試料加熱装置を開発しました。この装置はBL-3Aに設置されている4軸3円回折計用にデザインされており,δd/d 〜0.03%という高い分解能で精密な結晶構造解析が可能です。また,このシステムを利用して,1647Kという高温に保持したペロブスカイトCaTiO3の電子密度分布を世界で初めて可視化することに成功しました。

このシステムによって,固体酸化物燃料電池など,高温で合成され使用される多くの材料の精密な構造解析が可能になり,材料の特性向上や研究開発のスピードが加速されることが期待されます。

この成果は,Journal of Applied Crystallographyの2004年10月号に掲載される予定です。また,Eighth International Conference on Synchrotron Radiation Instrumentationで成果が発表され,同会議のプロシーディングス(AIP Proceedings vol.705として出版)に掲載されています。

Masatomo Yashima and Masahiko Tanaka : Performance of a new furnace for high-resolution powder diffraction up to 1900K - Application to determine electron density distribution of the cubic CaTiO3 perovskite at 1674 K -. Journal of Applied Crystallography, in press.

Masahiko Tanaka, Masatomo Yashima and Takeharu Mori : A new furnace for high-temperature synchrotron X-ray powder diffraction experiments - electron density analysis by powder X-ray diffraction at 1300 ℃ -. AIP Conference Proceedings, 705, 1055-1058 (2004).

詳しくは,東京工業大学のウェブサイトをご覧ください。

本加熱装置を設置したBL-3Aの回折計



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