財団法人電力中央研究所・原子力技術研究所の冨田雅典(とみた・まさのり)主任研究員が,平成20年度日本放射線影響学会奨励賞を受賞されました。本賞は,日本放射線影響学会会員のうち,放射線影響研究において顕著な成果を発表し,将来の発展が期待し得る満40歳未満の研究者個人に授与されるものです。
冨田氏は,放射線による主要なDNA損傷であるDNA二重鎖切断に応答するタンパク群に早くから着目し,阻害剤や変異株を用いた研究により,これらが細胞死において果たすさまざまな役割を明らかにしました。また,放射線物理に関する豊富な知識を活用して,高LET放射線やマイクロビームを用いた研究に積極的に取組んでいることから,放射線物理のセンスと放射線生物学の知識・経験を併せ持つ貴重な人材として高く評価されました。受賞対象となった研究の中には,PFのBL-27Bの放射光マイクロビーム細胞照射装置,27A,
Bの放射光生物試料照射装置を用いた研究が含まれており,現在,細胞核の部分照射や細胞質のみ照射といった,放射光マイクロビーム細胞照射装置ならではの照射法を用いて,DNA二重鎖切断応答タンパク質の局在変化などの研究に取り組み,成果をあげています。
授賞式および受賞記念講演は2008年11月19日〜21日に北九州国際会議場で開催された日本放射線影響学会第51回大会において行われました。
受賞記念講演「種々の刺激に対するDNA二重鎖切断修復関連タンパク質の応答とその生物学的意義」を行う冨田雅典氏。
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