東京大学・大学院工学系研究科・応用化学専攻の尾嶋正治(おしま まさはる)教授が、第12回表面科学会学会賞を受賞されました。この賞は、「表面科学の発展に、
または、本学会の発展に、特に顕著な貢献があったと認められる個人会員」に授与されるものです。
今回の受賞は、「高輝度放射光を用いた半導体・磁性体の表面電子状態の研究」に関する業績が高く評価されたものです。尾嶋教授の業績は多岐にわたりますが、今回の受賞理由となった業績を簡単にまとめると以下の4項目になります。
1.放射光軟X線を用いた化合物半導体表面の電子状態、表面構造解析。
2.化合物半導体の安定化表面を活用したInAs, MnAs, MnSb ナノ結晶の低温MBE成長法確立、およびin situ放射光光電子分光を用いた磁性ナノ結晶の電子状態解析。
3.レーザーMBE装置と光電子分光を結合させたin situシステムを初めて開発し、超巨大磁気抵抗効果 CMRを示すLa1-xSrxMnO3薄膜の電子状態を角度分解光電子分光、共鳴光電子分光で初めて解明。
4.LSI用ゲート絶縁膜の解析において絶縁膜/Si 基板界面バンド不連続性の精密決定法開発、および角度分解光電子分光による深さ方向分布決定法の開発、放射光の産業使用推進。
これらの業績はPFのNTTビームライン(旧BL-1)、BL-1C、BL-2Cにおける実験と装置開発とが中心となっており、PFでの放射光利用研究が表面科学の分野に大きく貢献していることが、表面科学会においても高く評価されました。
授賞式は2008年5月10日(土)表面科学会総会(東京大学) にて行われました。
日本表面科学会
http://www.sssj.org/
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