小角散乱による溶液、筋肉、高分子などの構造解析
五十嵐教之、PHS4712
2013年4月11日更新
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keyword: SAXS, WAXS , non-crystalline structure, dynamics
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ビームライン、ステーションの選択
- X線小角散乱実験が行えるビームライン、ステーション
- X線小角散乱装置(BL-6A)
- 点集光の光学系が採用されているので縦横の空間分解能が高く、2次元回折実験に適しています。
- BL-10Cに比べてX線ビームの輝度が高いのでスリットによるビームの切り出しが有利となっています。 光学系設定の自由度は高いですが、独自の設定には経験が必要になります。
- 2台の2次元検出器を同時使用できるようカメラが設計されており、小中角測定に加えて高角の回折像の同時測定(SAXS/WAXS)が行えます。
- 汎用の検出器として、小角散乱用にPILATUS 300Kと6/9-inch II+CCD(Hamamatsu C4880/C7300)の2次元検出器を備えている他、高角散乱用にPILATUS 100KとHamamatsu C10013SKが利用できます。 PILATUSもしくはII+CCDを使うことでミリ秒オーダーの時間分解能で2次元SAXS時分割測定ができる唯一のステーションです。
- 線波長は1.5Åの固定モードで用いられています。
- 試料周りの環境は、かなり自由にユーザーが変更することが可能です。
- 溶液用小角散乱実験装置(BL-10C)
- 擬似点集光型の光学系を持つためによる1次元(縦)方向のデータ収集に適しています。
- R-AXIS
7による2次元データの取得も可能です。この場合、横スリットでビーム断面の縦横比が同じ程度になるまでビームを切り込む必要があります。
- 合成高分子の熱的相転移やタンパク質集合体の解離・会合など遅い反応に対しては最小100ミリ秒程度の時分割測定が可能です。
- X線の波長は、通常、1.488Åに設定されています。
どんな小角散乱実験がどのステーションの装置に適しているかを判断するとき、主な要件として以下が挙げられます。
- 試料の形状:{溶液、ウェット、固体}、あるいは{配向、無配向}
- 測定領域:小角優先、小中角、広角(小~高角)
- 2次元像記録の要・不要(検出器のタイプ)
- 時分割測定の要・不要(時間分解能)
- 必要なビーム強度とサイズ
どちらのステーションも偏向電磁石を光源とするビームラインに建設されていますので入射X線ビームの最大強度には大きな違いはありませんが、採用されている光学系の違いによるビーム断面のサイズや形状、利用できるカメラ距離や検出器の種類で、それぞれの小角散乱装置としての長所が異なっています。ステーションを選択する際の大まかな指針は次表のようになります。
測定条件から見たステーションの特性
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試料の種類・形状
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可能測定領域
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2次元像記録
(使用検出器)
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時分割測定
(実用分解能)
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焦点サイズ
(横×縦)
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BL-6A
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制約なし
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小、高角同時測定
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PAD、II+CCD、FPD
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最小~数ミリ秒
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0.5mm×0.25mm
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BL-10C
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横配向不適
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小、中角(カメラ組換え)
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IP(回折は不向き)
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最小~100ミリ秒
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0.95mm×0.48mm
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