水平多軸精密X線回折装置(BL15C)

担当者: 平野馨一
5649(PHS:4572)
keiichi.hirano@kek.jp


1.概  要

 本装置は複結晶配置を用いた精密X線回折実験を行うためのものである(下図参照)。図で放射光はY方向に進む。装置は最上流のω―2θゴニオメーターと二台の精密二軸ゴニオメーターとからなり、それぞれ実験定盤上のY方向スライドテーブル上に置かれている。また、各ゴニオメーターにはX方向のモーター駆動スライド機構があり、水平方向の位置調整が可能である。ω―2θゴニオメーターにはZ方向の調整機構があり、垂直方向の位置調整が可能である。精密二軸ゴニオメーターの高さ調整は、X移動台とゴニオメーター本体の間のスペーサーを交換することにより行う。精密二軸ゴニオメーターの二つの回転軸は、各々の軸を中心として±45度水平から傾けることが可能な傾斜台の上に載っている。また、結晶の取り付けはHuber社製のゴニオメーターヘッド1003aによって行う。Huber1003a型ゴニオヘッドは常時数個用意されている。

水平多軸精密X線回折装置

水平多軸精密X線回折装置

2.各部の動作及びその精度

(a)ω―2θゴニオメーター

ω全周回転、1゜/5000pulse
2θ1゜/2500pulse
X、Z±25mm、1μm/pulse
手動、1mmピッチスケール付、クランプ付

(b)精密二軸ゴニオメーター

ω手動にて全周回転、
タンジェンシャルバーによるモーター駆動 ±3度、1秒/100pulse
±25mm、1μm/pulse
手動、1mmピッチスケール付、クランプ付

3.スリット、シールド等

 二象限スリット、四象限スリットが用意されている。これらは定盤上にマグネット等を用いて設置する。このためマグネットスタンド、ロッド、クランプ等が用意されている。

4.計測・制御装置

 パソコンによる制御システムが用意されている。検出器としては、NaIシンチレーションカウンター、イオンチェンバーが用意されている。また、原子核乾板用カセットとして3インチ×3インチ用及び1.5インチ×1.5インチ用の二種類が用意されている。

5.参考文献

(1) Nucl. Instrum. Method, A246 (1986) 613.
(2) Rev. Sci. Instrum, 60 (1989) 2490.