光イオン飛行時間差質量分析器

担当者: 柳下 明
5660(PHS:4449)
akira.yagishita@kek.jp


1.概  要

本実験装置は、真空チェンバー、金属蒸気発生用オブンまたは試料ガス導入系、静電レンズ、ドリフトチューブ、検出器、および計測システムから成っている。原子の多重光電離過程で生じた多価イオンのyield や分子の光フラグメントイオン yield 測定に利用される。


2.構成および性能

  1. TOF(飛行時間差)スペクトロメター
    衝突領域で生成されたイオンは、+100Vのパルスで押し出され、静電レンズで収束された後ドリフトチューブに入る。ドリフトチューブを出たイオンは、検出器でカウントされる(図1)。パルスの瞬間から検出器にイオンが達するまでの時間は、イオン種のM/Qによって異なる。イオンの飛行時間は、time-to-amplitude-converter (TAC) によって0 - 10V のアナログ信号に変換され、pulse-height-analyzer (PHA) を通じてコンピューターに取り込む。

    質量分解能:DM/M = 1/50

    本スペクトロメターには光電子の検出器も内蔵されているので、光電子のシグナルでTACをスタートさせることも可能である。

  2. 金属原子源用電気炉
    金属原子を内部に含んだ炉は抵抗線によって加熱される。約 800Cまで加熱可能。蒸気になった金属原子は、衝突領域に向かって放出され、液体窒素トラップ上に捕獲される。衝突領域における金属原子ビーム径は、約 15mm (レーザー蛍光により観測)。




3.参考文献

  1. A. Yagishita et al. Photoionization of sub-balence p-subshells in alkaline-earth atoms, KEK Repoert 86-6 (1986)


Last modified : 03 Feb, 1999