高温高圧X線実験装置(MAX90)(BL13B2,BL−14C)
担当者: 亀卦川 卓美
5592(PB:4359)
takumi.kikegawa@kek.jp
1.概 要
本装置は,高温高圧下に置かれた物質の状態を放射光の特性を用いて研究するものであり,主に次のような実験を目的としている。
- 高輝度,高平行度の利用
- 格子定数の精密測定(状態方程式(P−V−Tの関係)の精密決定)
- 相転移のその場観察および時間分割測定(相平衡線の決定および相転移の機構解明)
- 超高温超高圧領域での実験及びその技術開発
- 連続スペクトルの利用
- 高温高圧下におけるEXAFS,NEXAFS(高圧下での局所構造および電子構造)
- 異常散乱を用いた回折(高温下での局所構造の解明)
2.性 能
- 高圧力発生装置
- 350トン高精度油圧制御装置
- DIA−10型キューピックアンビル装置
- アンビル先端 3,4,6mmロ(焼結ダイヤモンドアンビル)
- 発生圧力温度 アンビルサイズ(mmロ) 3 4 6
圧力 (GPa) 25 15 15
温度 (℃) 1000 2000 2000
- 試料の大きさ(典型例)1mφ×1mmH(MAX80試料構成図参照)
- 検出方法
- 小型SSD(Ge)を用いたエネルギー分散法
- マルチチャンネルコリメータとイメージングプレートを用いた角度分散法(*1)
- 使用可能エネルギー艶囲(詳細は各ステーションの説明参照のこと)
- 10〜25keV(BL13B2)
- 20〜120keV(BL−14C)
- データ収禄および処理
- SSDからMCAを通して得られた回折デ−タ及び温度・油圧光学系等の装置条件データはGP-IBを通してPC−9801に収録される。このデータはもう一台のPCパソコン上でカーブフィット格子定数計算プログラムPCNAX5を走らせることにより処理される。生データに解析結果を加えたデータは2HDフロッピーディスク(5"/3.5")もしくはMO(3.5")に記録して持ち帰ることができる。
- イメージングプレ−トに記録された回折図形はPFのBAS2000によって読みとられ,高圧専用WS上の1次元変換プログラムで処理を行い、更にIPNAXと呼ばれるカーブフィット格子定数計算プログラムで解析することが出来る。また同WSのRIETANプログラムによりRietveld法による回折強度解析も可能である。(DAC用高圧X線回折実験装置の項参照)
- PCNAX5及びIPNAXプログラムは各研究室で利用できるように,MS-DOS版が公開されている。
- 測定時間(1回折図形当りの計測時間)
- エネルギ−分散法 :通常5〜10分
- 角度分散法 :10〜30分
3.その他
実験装置の操作およびサンプリングのマニュアルが整備されている。ただしある程度の経験を要するので,メンバーに経験者が参加できることが望ましい。
4.参考文献
*1:Angle-dispersive diffraction measurement system for high-pressure experiments using a multichannel collimetor, K.Yaoita et.al., Rev.Sci.Instrum., 68(5),1997, p2106
Last modified : 03 Feb, 1999