BL-15A X線小角散乱実験ステーション
1. 概要
BL-15Aは、X線小角散乱実験を行うことを主目的としたステーションである。光学系は、輝度の高い集光単色X線を得るための湾曲全反射ミラー及び湾曲結晶モノクロメータの光学素子からなる(図-1,
2参照)。湾曲全反射ミラーは、長さ100cmのPtコート溶融石英を用い、垂直方向0.3mradのX線束の収束及び短波長領域のX線の除去を行う。湾曲結晶モノクロメータは、ミラー下流に位置し、円筒面に湾曲させた三角形単結晶で水平方向1.2mradのX線の集光及び単色化を行う。
3個の4象限スリットがそれぞれミラーの上流、モノクロメータの下流及び試料直前に位置する。試料は、モノクロメータ下流約1.5mから焦点までの間の適当な位置に置くことができる。X線波長は1.50Aで使用している。ミラー、モノクロメータ、スリット等は、全てリモート制御によるステッピングモータで駆動される。また、本ステーションでは、高速一次元位置敏感X線検出器を備え、一次元X線回折像の時間的変化を最小時間分解能1msで記録することができる。
図-1 光学系概念図
(A) Bellows, (B) Upstream beam viewing port, (C) Beryllium Window, (D) Incidence Slit, (E) Mirror Chamber, (F) Beryllium Window, (G) Vacuum Gate Valve, (H) Bellows, (I) Downstream Beam Viewing port, (J) Monochromator Vacuum box, (K) Bellows, r Specimen, (O) Kapton Window, (P) Specimen Postion, (Q) and (P) Kapton Windows, (S) Detector Position, (T) Table for Detector, (U) Safety Hutch. |
図-2 ビームライン・レイアウト
2. 性能
光学系 |
溶融石英湾曲ミラー[Ptコート・曲率可変] |
エネルギー領域 |
波長 1.5A |
分解能(ΔE/E) |
~3 x 10-3 |
ビームサイズ(焦点位置) |
0.11 (V) mm x 0.52 (H) mm (27nmrad理論値) |
ビーム強度 |
~3 x 1011 photons/sec(第一スリットの開口値により変わる) |
3. 実験装置等
高速一次元位置敏感X線検出器:有効長20cm 検出効率17% (λ= 1.54Å )
感度の一様性 ± 3%
カソードからのディレイライン読み出し
Ar + CH4ガス使用
時間分解計測用計算機: ワークステーション (SUN: S-4 /LX)
OS: Solaris 2.4, メモリ32MB
DAT装置(DDS2)
SBus-CAMAC I/F
データ処理用計算機:
ネットワークおよびデータ持ち帰り:
この他に、IPカセット、筋肉刺激装置・試料恒温装置・MCA・ディジタルストレージオシロスコープ・試料位置調整ステージ・ネットワークレーザプリンタ(OKI Microline22)が設置されている。
4. その他
前述の一次元位置敏感X線検出器の他にCCD-X線検出器も使用できる。(事前連絡が必要)
5. 参考文献
Y. Amemiya, K. Wakabayasi, T. Hamanaka, T. Wakabayasi, and H. Hashizume. Nucl.
Instrum. Method, 208 (1983) 471-477.
Y. Amemiya, K. Wakabayashi and K. Itoh, Photon Factory News, 16, 9-11 (1998)
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2009-03-31 更新