BL-18C 超高圧粉末回ステーション

担当者: 亀卦川 卓美
5592(PHS:4359)
takumi.kikegawa@kek.jp


1.概  要

本ステーションはダイヤモンドアンビルセル(DAC)中の超高圧力下におかれた物質の結晶構造を放射光の特長を生かして研究するものであり,次のような実験を主な対象としている。
  1. 高輝度単色X線及びIPを用いた室温高圧粉末X線回折
  2. 連続スペクトルの利用


2.性  能

  1. 光学系:二結晶モノクロメーター[Si(111)]第一結晶のz移動により出射光高さ固定
        K−B型集光ミラー(材質:石英+Ptコート、臨界エネルギ:-25keV)
  2. エネルギー領域:6−25keV
  3. エネルギー分解能:ΔE/E〜5×10-4
  4. ビームサイズ:縦集光40μm,見込み角1mrad
           横集光85μm,見込み角0.8mrad
        (試料位置:20.0m)


3.実験装置

  1. DACステージ(参考文献参照)
  2. 試料周り STM型パルスモーター駆動XYZ試料ステージ(シグマ光機製)
         LTS-22型クライオスタット(5〜400K)(米国RMC製)
         DXR-GM ガス圧駆動DAC(英国DIACELL PRODUCTS製)
  3. 検出器 IP:フラットカセット型(200mmW×250mmL/200mmW×400mmL)
        X線CCD:口径φ160mm(浜フォト製)
  4. 平均測定時間:20keVの単色光を用い,φ80μmコリメータで約10分程度の露出が必要
  5. データ収録および処理プロセス
    回折X線を記録したIPは,FUJI BAS2000で読みとられ,ネットワークで接続された高圧実験用ワークステーション(SPARC Station)に常駐するPIPと呼ばれる高圧用プログラムで1次元の回折強度データにヒストグラム法で変換される(*1)。2次元の生データ及び1次元回折データは幾つかの記録媒体に書き込んで持ち帰ることが出来る。
    CD-R, MO(5,3.5"),FDD(3.5"), 8mmVTR
  6. 回折強度データ解析
    1次元回折強度データは,IPNAXと呼ばれるカーブフィット・格子定数計算プログラムを用いることによりピークの位置と強度を求めることが出来る。現在高庄用ワークステーションによりRietveld 解析が可能になっている。各研究室でIPNAXを使用出来る様MS-DOS版が整備されている。


4.その他

  1. DACはユーザー各自が持ち込むこと。但しX線回折装置とルビー測庄装置の制限により標準型DAC(50mmW×50mmD×55mmL)以外は各自アダプターを製作すること。低温実験については現在2セットのガス圧駆動DACが整備されているが、ダイヤモンドアンビルは各自が持ち込むこと。
  2. 放射光はビームの発散が極めて小さく,微小径ビームを使用するので試料の粒子サイズが粗いときれいなパターンは取れない。本装置の特長である格子定数,回折強度の精密解析を可能にするのは良質の強度回折パターンを与えるような粉末試料(通常の実験室系より1桁小さいサイズ(≦1〜2μm)を用意することが必要不可欠である。
  3. 放射光実験の前に通常の実験室系で,充分予備実験を行うことが望ましい。
  4. 標準型DAC用の加圧装置及び試料観察用高倍率顕微鏡が各2セット、Arレーザーによるルビー蛍光測庄装置が2Fデッキ上に整備されている。
  5. 現在簡単なマニュアルが整備されているので,経験者について一通り練習すれば問題なく実験可能である。


5.参考文献

PFニュース(Vol.16,No.2,1998)P10〜12にDACステージの詳しい仕様が報告されている。
*1:Appliication of an imaging plate to high-presssure x-ray study with a diamond anvil cell, O.Shimomura et.al., Rev.Sci.Instrum., 63(1),1992, p967



Last modified : 03 Feb, 1999