BL-6A X線小角散乱ステーション
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BL担当者:五十嵐教之 5641 (PHS 4712)
mailto:noriyuki.igarashi@kek.jp

1. 概要

 BL-6Aは、X線小角散乱実験を行うことを主目的としたステーションである。2011年夏のシャットダウン中にBL-15AからBL-6Aへの移設が行われ、2011年10月19日から共同利用を開始した。
光学系は、輝度の高い集光単色X線を得るための湾曲全反射ミラー及び湾曲結晶モノクロメータの光学素子からなる(図参照)。湾曲全反射ミラーは、長さ110cmのULEミラーを用い、垂直方向約0.3mradのX線束の収束及び短波長領域のX線の除去を行う。湾曲結晶モノクロメータはミラー下流に位置し、円筒面に湾曲させた三角形非対称Ge単結晶で水平方向のX線の集光及び単色化を行う。
 3個の4象限スリットがそれぞれミラーの上流、モノクロメータの下流及び試料直前に位置する。試料は、モノクロメータ下流約1.5mから焦点までの間の適当な位置に置くことができる。X線波長は1.50Åで使用している。ミラー、モノクロメータ、スリット等は、全てリモート制御によるステッピングモータで駆動される。

2014年1-3月に掛けてBLの高度化を実施し、実験定盤と検出器の更新を行なった。実験定盤としては、半自動のカメラ長変更システムを装備したものが設置され、0.25〜2.5mの範囲で一定間隔に変更可能である。検出器としては、SAXS用に新たにPILATUS3 1M(Dectris)が設置され、既存のWAXD用のPILATSU 100K(Dectris)と合わせてSAXS(GISAXS)/WAXD同時測定実験が可能となっている。

 

図.ビームライン平面図

 

2. 性能

光学系

垂直集光湾曲ミラー[ULE・曲率可変]
湾曲モノクロメータ[Ge(111)・非対称カット]   (上図参照)

エネルギー領域

波長 1.5A

分解能(ΔE/E)

~3 x 10-3

ビームサイズ(焦点位置)

0.25 (V) mm x 0.50 (H) mm

ビーム強度

1.0 x 1012 photons/sec(第1スリット全開)
3.6 x 1010 photons/sec(第1スリット:0.6 x 0.6 mm2

カメラ長

0.25, 0.5, 1.0, 2.0, 2.5 m:(WAXDチャンバ使用時)0.75, 1.0, 1.5, 2.5 m



3. 検出器、その他の装置


・検出器

ハイブリッドピクセル検出器(SAXS)

Dectris PILATUS3 1M, Max. frame rate=500Hz, readout time=0.95msec, 20-bit counter depth

ハイブリッドピクセル検出器(WAXD)

Dectris PILATUS 100K, Max. frame rate=300Hz, readout time=2.3msec, 20-bit counter depth

データ解析用計算機

Windows7 1台

データ持ち帰り

上記Windows7マシンからUSB接続にてHDやUSBメモリなど

・ビームストッパー各種
フライングビームストッパー(Φ9, 7, 6, 5, 4mm、7x5, 6x4 mm)、GI-SAXS用ダイレクトビーム&スペキュラーストッパー。
PD埋め込み型ビームストッパー(Φ5mm)。

・その他の装置
デジタル遅延パルス発生器(Quantum Composers 9528)、試料恒温循環水装置(5〜70℃)、USBデジタルオシロスコープ、
デジタルロガー、インキュベータ(3〜45℃)、冷却機能付微量遠心機(1.5ml、0.5mlチューブ用ローター有り、-20〜40℃)、
ピペットマンネオ(2, 20, 200, 1000μL)、ペリスタポンプ、汎用GISAXSステージ

※BL-6Aの詳細情報は、以下のHPをご覧ください。
PF小角散乱ビームラインのホームページ


4. その他

 
5. 参考文献

 N Shimizu, T Mori, N Igarashi, H Ohta, Y Nagatani, T Kosuge and K Ito.
 Refurbishing of Small-Angle X-ray Scattering Beamline, BL-6A at the Photon Factory
 J. Phys.: Conf. Ser., 425, 202008.

  Y. Amemiya, K. Wakabayasi, T. Hamanaka, T. Wakabayasi, and H. Hashizume. Nucl. Instrum. Method, 208 (1983) 471-477.
  Y. Amemiya, K. Wakabayashi and K. Itoh, Photon Factory News, 16, 9-11 (1998)
  N. Igarashi, Y. Watanabe, Y. Shinohara, Y. Inoko, G. Matsuba, H. Okuda, T. Mori, and K. Ito, J. Phys.: Conf. Ser., 272, 012026 (2011).

2015-4-14 更新