AR-NE5C 高温高圧実験ステ−ション

担当者: 亀卦川 卓美
5592(PHS:4359)
takumi.kikegawa@kek.jp


1.概  要

本実験ステ−ションは,PF-AR(6.5GeV)の偏向電磁石からの高エネルギー白色X線を用いて,高温高圧下に置かれた物質の状態を研究することを目的に建設された。ビームライン自体には集光光学系などの装置は無く,ハッチ内に導かれた最大60mmW×5mmH程度の白色X線を4Dスリットによって細束化して使用する。通常は白色X線をそのまま用いたエネルギー分散法による回折実験が主流であるが、ARの特徴である高エネルギー放射光を生かすために専用に作られた2結晶モノクロメータと,高温高圧X線実験装置(MAX80)を組み合わせて,エネルギー分散法と角度分散法による測定を短時間のうちに切り替えて行うことが出来る。このため次のようなそれぞれの特長を生かした実験を行うことが可能である。
  1. エネルギー分散法では広いd−空間の回折図形を短時間にリアルタイムで測定できるため,格子定数の精密測定,状態方程式の精密決定,相転移のその場観察及び時間分割測定,超高温領域での測定が可能である。
  2. 角度分散法では回折強度の精密測定が可能であるため,複雑な構造を持つ結晶や液体融体の高圧下の原子座標を決めることが可能である。また異常散乱を利用することで化合物や合金の局所 構造の圧力効果の解明にも利用できる。
  3. エネルギー分散法により圧力や試料状態の同定を短時間に行い、角度分散法による測定を同じ光学系で測定する(DDX法*1)ために、高精度のその場観察測定が可能である。


2.性  能

  1. 光学系:二結晶モノクロメータ[Si(111)]
  2. エネルギー領域 :20〜140keV (白色X線によるエネルギー分散法)
               :30〜80keV (単色X線による角度分散法)
  3. エネルギー分解能:ΔE/E〜5×10-4
  4. ビームサイズ  :60mm(W)×6mm(H)


3.実験装置(MAX80)

  1. 高圧力発生装置
  2. X線回折法及び検出法
  3. データ収録及び処理
  4. 測定時間(1回折図形あたりの計測時間)


4.その他

実験装置の操作およびサンプリングのマニュアルが整備されている。ただしある程度の経験を要するので,メンバーに経験者が参加できることが望ましい。


5.参考文献

*1:Application of an Imaging Plate to Large Volume Press MAX80 at Photon Factory, Chen, J.et.al., J. Synchrotron Rad. 4, 1997, p21



Last modified : 03 Feb, 1999