HOMEERL計画とは 概要 

概 要

リーダー あいさつ

超伝導加速器利用推進チーム・チームリーダー 阪井 寛志

 将来光源の方向性をEnergy Recovery Linac(ERL), エネルギー回収型ライナックに定めたプロジェクトを推進するために、2006年4月にERL計画推進室が設置されました。ERLは蓄積リング型放射光施設の限界を超えると同時に、多くの放射光科学の展開を可能とする新しい次世代放射光源です。ERL計画実現のためには多くの技術開発を必要とし、その技術の可能性を確認するために、まず実証機:小型のERL加速器(コンパクトERL)を作ることから最初の一歩を踏み出しました。その開発場所として、東カウンターホール(現在はERL開発棟)を再利用することになりました。2009年度から建設フェーズに入り、東カウンターホールそのものの改修工事のほか、古い放射線シールドの撤去作業、付随する電気・冷却水設備工事やヘリウム冷凍設備などの各設備・整備も行われ、各方面の関係者の協力のもと2010年度に改修工事が終了しました。これはコンパクトERLの建設に取り掛かるための大きな第一歩と位置付けることができます。(”東カウンターホールからERL開発棟へ移り変わる様子”の写真をご参照ください)
 cERL加速器を安全に運転するために必須の、新しい放射線シールドの建設開始を皮切りに、重要な技術開発の場であるコンパクトERLの建設は2011年度から2012年度に急ピッチで進みました。同時にそれは要素技術の開発をcERLに導入する時期でもあり、各分野の開発も同様に飛躍的に進展しました。加速器の心臓部である超伝導加速空洞や高輝度電子銃を設置、冷凍設備などの既に整備設置されていた機器との接続作業も行われました。いずれの機器も、ERLを実現するには欠かせない加速器技術を駆使したものですが、いろいろな試験を繰り返し、また各種検査合格を経て、安全な運転へ向けての準備が整いました。3月には「次世代光源用光陰極直流電子銃から500keV大電流ビーム生成に成功」のプレス発表が行われました。世界に先駆けてのこの成功は、まさに、回折限界X線放射光源であるERLを実現していくにあたり重要な一里塚となる事象となりました。
 2013年春には入射部にて電子ビームの加速に成功し、放射線の施設検査を合格しました。引き続き数々のマシンスタディが行われましたが、これらの地道な開発研究は必ず実機に結びついて行くとの高い使命感をもって、現場の加速器研究者は一丸となって開発研究を進めてきました。入射部の試験運転が無事に終了したcERLでは、厳しいスケジュールの中、周回部の建設作業が予定通りに終了、12月からのビーム周回の立上げ運転を経て、2014年春にはエネルギー回収運転に成功しました。引き続きその性能向上のための調整運転が行われましたが、cERLは立ち上げに参加している加速器メンバーに魂を吹き込まれるように一つ一つ性能向上されてきています。
 cERLの運転成果は、無事にエネルギー回収運転を開始し、順調に立ち上げが進んでいること、また、重要な加速器要素技術が順調にその性能を発揮していること、新たに明らかになった問題点も含めて、ドレスデンで開催された第5回IPACや日本加速器学会で講演、ポスター発表を行うなど、国内外にわたり報告してきています。
 ここまでの建設並びに調整等においてご尽力くださっている関係者の皆様、ご支援頂きました皆様に感謝いたします。cERLでは、これからは目標となるビーム性能の実現、ビーム電流の増強等を目指しますが、今後ともERL計画をご理解ご支援頂き、開発を進めようとしているメンバーに勇気と力を与えて頂ければ幸いです。

ERL計画推進室概要

 Energy Recovery Linac(ERL), エネルギー回収型ライナックは「先端性」と「多様性」を満足する新しい次世代放射光源です。ERLの開発・検討を効率良く進めるために、KEKでは2006年4月に「ERL計画推進室」を設置し、機構内で培ってきた最先端の加速器技術、および日本原子力研究開発機構(JAEA)、東京大学物性研究所(ISSP)、産業技術総合研究所をはじめとする内外の研究機関との協力の下、ERLの開発を進めています。ERL推進室は、メンバーをあえて固定せず、コーディネーターと呼ばれる研究者を中心にオープンな組織を作っています。コーディネーターは、KEKの研究者に加え、日本原子力研究開発機構(JAEA)、分子科学研究所(UVSOR)といった外部の研究者を含んだ組織になっています。要素技術の開発・検討を行うワーキンググループの集合体であるERLプロジェクトチームが組織され、具体的な開発・検討作業が進められています。また、米国のコーネル大学、Advanced Photon Source (APS) など外国のERL推進グループとの技術協力を推進しています。                           

次世代加速器光源イメージ図

 

推進室報告

サンプル画像

PF News(Photon Factory News)               PFNewsのサイト

PFが発行する共同利用ユーザーの皆様とPFスタッフ間の情報交換の場を提供する雑誌です。年4回Web発行されますが、現状報告として、cERLの建設状況を始めトピックスや学会での報告状況など、ERL計画に関する進捗状況やこれからの予定についても毎回掲載されています。

ERL計画推進室報告(機構会議

毎月開催の機構会議において、cERLの建設状況を始めトピックスや学会での報告状況、これからの予定など、サイエンスに関する情報なども含めて、ERL計画推進室報告がなされています。

評価報告書

お問合せ

住所 〒305-0801 茨城県つくば市大穂1−1
電話番号 029-864-5635 (放射光事務室内)
FAX番号 029-864-2702
メール(秘書) erl-sec(at)pfiqst.kek.jp
url http://pfwww.kek.jp/ERLoffice/

交通

つくばエクスプレス(TX)つくばセンター駅下車→つくバス「北部シャトル(HB) 筑波山口」行き、または、関東鉄道バス 「つくばテクノパーク大穂(18、C8、C8A)」行き、「下妻駅(71)」行きで 「高エネルギー加速器研究機構」下車(所要時間約20分)。
詳しくは、こちら(KEKホームページ)をご覧ください。


 

 

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