【開催主旨】
1950年代におこなわれた DNAやヘモグロビンの立体構造解析に端を発した生体高分子の立体構造解析は、近年では構造生物学として生物学の一分野を占めるまでになった。この発展は、 1980年代から本格化した放射光の利用と切り離す事はできない。
放射光の利用により、高精度、高分解能のデータが短時間で得ることが可能となり、更にコンピュータ技術の発展とも相まって生体高分子の X線結晶構造解析を手軽に行なう事ができるようになった。これに伴い、構造生物学もその対象を大きく変えてきた。生物学的に必要とされている構造を大量に供給し続ける一方で、これまでは全く手の出なかった複雑で巨大な分子、結晶化や精製が難しい分子へと解析の対象を変えてきている。
このような急激な変化の中で、放射光を利用した構造生物学は何を目指すべきなのか、また放射光を利用する事でどのような新しい解析が可能となるのか、結晶構造解析、小角散乱等の放射光を利用した最新の構造生物学の結果と周辺領域の結果を踏まえ、第一線の研究者による討論を通して、放射光利用による構造生物学の将来を考える契機としたい。
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