PF将来計画に関する研究会3
「放射光マイクロビームと利用研究の展開」
X線のマイクロビームによるX線計測技術は、放射光利用により始めて実用化のレベルに達した比較的新しい手法です。1980年代にはX線領域では主に放射光蛍光X線分析を目的とした光学系の開発が、また軟X線領域では軟X線顕微鏡の開発が行われてきました。1990年代に入って新たな集光光学系の提案・実用化が盛んになり、利用研究もX線領域では分光学的手法やX線回折法への展開が見られ、また軟X線領域では光電子顕微鏡が発展しました。
マイクロビームの特性は放射光源に強く依存します。例えば典型的なX線領域でのビームサイズは第2世代光源では数mm、第3世代光源ではsub-mmです。現在PFでは、将来計画としてエネルギー回収型ライナック(Energy
Recovery Linac, ERL)をベースとした新光源を検討しております。ERL光源の特長はいくつかありますが、超低エミッタンス(0.01nmrad)およびビーム形状が円形ということを生かせば、原理的には10
nmオーダーのビームを得ることも可能と考えられます。このようなERL放射光源でのナノビームの形成とナノビーム利用研究の可能性を視野に入れたマイクロビームとその利用に関する研究会を企画しました。本研究会では放射光マイクロビーム開発および利用研究に携わっている第一線の研究者にお集まりいただき現状と将来展望について議論すると共に、将来の発展の可能性を探るため、マイクロビームに関連したイメージングや放射光以外の手法によるナノ構造の研究、更にナノビーム利用研究計画も含めた会を計画しております。この研究会を契機に現在のマイクロビーム研究の一層の展開が図られ、またナノ領域解析の展望が拓けることを期待します。多くの方々のご参加をお願いいたします。
研究会の開催日、場所、プログラムは下記のとおりです。参加を希望される方は、下記「参加申込みフォーム」より手続きを行なってください。
旅費のサポートなどを希望する参加申込みの締め切りは11月1日(金)としております。この締め切り以降は、旅費のサポートなどが十分行えない可能性もありますが、随時受けつけています。懇親会に参加を希望されます場合には準備の都合上11/11(月)までにお申し込みください。
プログラムの詳細なども随時掲載いたします。
開催日:平成14年11月14日(木)、15日(金)
場 所:高エネルギー加速器研究機構、4号館セミナーホール
交 通:
車 常磐自動車道「桜土浦」インターより東大通りを筑波山方面へ20分
電車 JR常磐線「ひたち野うしく駅」よりバスで「つくばセンター」へ25分、
「つくばセンター」より「高エネルギー加速器研究機構」へバスで20分
バス 東京駅より「ニューつくばね号」で「高エネルギー加速器研究機構」下車(約1時間30分)
東京駅より「つくば号」で「つくばセンター」下車(約1時間)、
「つくばセンター」より「高エネルギー加速器研究機構」へバスで20分
詳しくは「KEKまでの交通」をご覧下さい。
旅費のサポートはできる限り行ないます。
宿泊施設:KEK内共同利用者宿泊施設 (宿泊申し込み締め切りは10月25日(金)です。)
KEK周辺宿泊施設
プログラム案
講演(25分)+質疑応答(10分)を基本として構成されています。
11月14日(木)
座長:飯田厚夫(KEK・PF)
13:30 始めに 飯田厚夫(KEK・PF)
13:40 PF新光源計画について 小林幸則(KEK・PF)
14:15 ERL挿入光源について 山本 樹(KEK・PF)
14:50 SPring-8におけるマイクロビームとX線顕微鏡開発の現状と将来展望 鈴木芳夫(JASRI)
15:25休憩
座長:大隅一政(KEK・PF)
15:45 SPring-8分析BLにおける顕微X線分光 早川慎二郎(広大・工)
16:20 マイクビームX線分析の実際と将来への期待と課題 中井泉(東理大)
16:55 PEEMによる触媒反応機構の研究 朝倉清高(北大)
17:30 PFにおけるX線マイクロビームとその応用 飯田厚夫(KEK・PF)
18:00 懇親会(レストラン「くらんべりぃ」)
11月15日(金)
座長:澤 博(KEK・PF)
9:00 SPring-8兵庫県ビームラインにおける位相ゾーンプレートを用いたマイクロビーム光学系の開発と応用
篭島靖(姫工大)
9:35 X線回折/散乱及びイメージングへの応用 雨宮慶幸(東大・新領域)
10:10 休憩
座長:河田 洋(KEK・PF)
10:30微小領域・微小試料の組織・構造の解析 大隅一政(KEK・PF)
11:05収束電子線によるナノマテリアル解析 津田健治(東北大)
放射光構造物性からのコメント 澤 博(KEK・PF)
11:50 昼食
座長:飯田厚夫(KEK・PF)
13:00平行マイクロビームの半導体デバイスへの応用 松井純爾(姫工大)
13:35超高圧・高温実験とマイクロビームの果たす役割 八木健彦(東大)
14:10 ナノテクノロジーへの新しい応用 尾嶋正治(東大)
14:45生命科学への新しい応用 若槻壮市(KEK・PF)
15:20 終わりに
(東京行きバスのKEK出発時刻:16:03)
問い合わせ先:物質構造科学研究所、PF 飯田厚夫 e-mail: atsuo.iida@kek.jp
Last modified
2002-11-11
by pfw3-admin@pfiqst.kek.jp
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