PF研究会「新BL-16
高速スイッチング可変偏光アンジュレータービームライン
放射光を利用した軟X線分光研究の新展開」開催のお知らせ
- 平成18年5月1日(月)〜2日(火)-
PFリングは、アンジュレーター用直線部が大幅に増強された。 特にB15-B16 (BL-16)最長直線部は〜9
mもあり、この直線部のベータトロン振幅かなり小さい。故にこの最長直線部は、アンジュレーター基本波で高強度の軟X線の発生が可能であり、軟X線分光用として理想的である。
新BL-16 のハード技術に関して数年間の検討が行われた結果、以下の方向性がほぼ固まった。
(i)2台のタンデム配置アンジュレーターで左/右円偏光、及び水平/垂直直線偏光の可変偏光を発生する。
(ii)キッカーマグネットにより電子ビームを水平面内で振り、偏光の交流的スイッチングを可能にすると共に、リング内電磁石で電子ビーム軌道を補正する。
(iii)分光光学系は、可変溝間隔回折格子(VLSG)を用いた可変偏角分光器を採用する。
(iv)ビームライン光学系は、偏光をスイッチした時に試料上で2台のアンジュレーターからの光ビームのスポット位置や光強度が、可能な限り一致する条件を満たす。
新BL-16の偏光軟X線を利用するサイエンスは、従来の研究会や検討会で色々提案された。研究提案は、(I)偏光の交流スイッチングをフルに利用し、従来の直流測定では検出が困難、又は不可能だった極微小な二色性の研究、及び(II)偏光の交流スイッチングは必要としないが、可変偏光(左/右円偏光、水平/垂直直線偏光)を利用する偏光分光、に大別される。
(I)は、(1)カイラル対称性生命体分子のX線自然円二色性測定による研究、
(2) 微小X線磁気円二色性(XMCD)およびX線磁気線円二色性(XMLD)測定によるナノ磁性体、強相関電子系物質、
及び希薄磁性半導体の相転移近傍の研究、
(3) 温度可変XMCD測定による磁気的無秩序物質の研究等が代表例である。
(II)は、(4) 時間分解XMCDによる表面磁性ダイナミックスの研究、
(5) 軟X線共鳴散乱・回折のCD/LDによるナノ構造と電子状態の解明、
(6) PEEMによる微小磁気ドメインの実空間観察、
(7) スピン分解光電子分光による表面・界面磁性の研究、
(8)気体分子の二重電離過程における光電子放出角度相関における円二色性、および分子解離でのCD/LDを利用した新質量分析法、
等が挙げられる。
上述したハードの方針は最終決定案ではなく、今後も建設開始まで検討を続け常にブラッシュアップすることが重要である。期待されるサイエンスも、現時点までに考案・提案されたものであり、放射光サイエンスの最新成果を常に取り入れ、先取りする必要がある。さらに、従来の光源・ビームラインでは実験が不可能で、想像さえしなかった新奇な研究が、新BL-16で実行可能になる可能性もある。本PF研究会は、新BL-16の最有効利用を目指し、今後に発展すると期待される軟X線偏光分光学の実験研究と理論研究に関する新たな提案と議論を行うと共に、挿入光源・リング軌道制御・分光光学系などのハード技術の向上案を検討・議論する場を提供する。
日時:平成18年5月1日(月)〜2日(火)
場所:高エネルギー加速器研究機構 4号館1Fセミナーホール(施設案内・マップはこちらをご覧下さい。)
交通:
車 常磐自動車道「桜土浦」インターより東大通りを筑波山方面へ20分
電車 ○JR常磐線「ひたち野うしく駅」よりバスで「つくばセンター」へ25分、
「つくばセンター」より「高エネルギー加速器研究機構」へバスで20分
○常磐新線(つくばエクスプレス)「つくば駅」下車、隣接の「つくばセンター」より「高エネルギー加速器研究機構」へバスで20分。
つくばエクスプレス時刻表
つくば駅・KEK間のバス時刻表(2006年4月1日改定)
つくばエクスプレスのホームページ
バス 東京駅より「ニューつくばね号」で「高エネルギー加速器研究機構」下車(約1時間30分)
東京駅より「つくば号」で「つくばセンター」下車(約1時間)、
「つくばセンター」より「高エネルギー加速器研究機構」へバスで20分
詳しくは「KEKまでの交通」をご覧下さい。
参加申込み:下記参加申込みフォームよりお申込み下さい。
参加申込は随時受け付けておりますが、 宿舎をご希望の場合は4月21日(金)までにお願い致します。
*4月21日を過ぎた場合はこちらのフォームより直接ユーザーズオフィスにお申込下さい。
*旅費については出来る限りサポートを行います。
一般参加の方の宿舎は原則として「シングル・バストイレ無し」とさせていただきますので予めご了承下さい。
旅費の支給または宿舎の利用を希望される方はユーザー登録が必要です。詳細はKEK内共同利用者宿泊施設をご覧下さい。
KEK周辺宿泊施設についてはこちらをご覧下さい。
注)企業及び学部学生の方には旅費、日当、宿泊料は支給されませんので予めご了承下さい。
宿舎はご利用いただけますので、こちらのフォームよりお申込み下さい。
懇親会:5月1日(月)夕刻より懇親会を予定しておりますので、ふるってご参加下さい。
参加希望の方は4月21日(金)までにお願い致します。
提案代表者: 東京大学大学院新領域創成科学研究科 藤森 淳
東京大学大学院工学研究科 尾嶋正治
東京大学物性研究所 辛 埴
物質科学第一研究系 伊藤健二
物質科学第一研究系 小出常晴
物質科学第一研究系 小野寛太
放射光源研究系 前澤秀樹
放射光源研究系 山本 樹
放射光源研究系 小林幸則
連絡先: 伊藤健二(物構研PF) kenji.ito@kek.jp、
小出常晴(物構研PF) tsuneharu.koide@kek.jp
山本 樹(物構研PF) shigeru.yamamoto@kek.jp
5月1日(月)
13:00〜 受 付
13:30〜13:40 研究会の趣旨説明
伊藤健二(KEK−PF)
13:40〜14:05 新BL-16高速可変偏光スイッチング軟X線分光ビームラインの概要
伊藤健二(KEK−PF)
14:05−14:30 高速スイッチング可変偏光アンジュレーターの検討
山本 樹(KEK−PF)
14:30−14:45 高速スイッチング可変偏光アンジュレーター用電磁石システム
原田健太郎(KEK−PF)
14:45−15:00 高速スイッチング可変偏光アンジュレーターのための軌道フィードバック
帯名 崇(KEK−PF)
15:00−15:25 ビームラインBL-16用分光光学系の設計
雨宮健太(東大院理)
15:25−15:40 休 憩
15:40−16:05 高速スイッチング可変偏光放射を利用した期待されるサイエンス(概論)
小出常晴(KEK−PF)
16:05−16:30 生体分子の放射光分光(特にVUV,SX-CDについて)
中川和道(神戸大発達科学)
16:30−16:55 XMCD−PEEMを用いたナノ領域磁気イメージング
尾嶋正治(東大院工)
16:55−17:20 スピン再配列相転移の動的観察
太田俊明(立命館大)
17:20−17:45 高輝度放射光とスピン分解光電子分光
柿崎明人(東大物性研)
18:00〜20:30 懇 親 会 (レストラン「くらんべりぃ」にて)
5月2日(火)
09:00−09:25 遷移金属化合物の共鳴X線発光分光におけるdd
及びCT励起
小谷章雄(KEK-PF, SPring-8)
09:25−09:50 軟X線発光分光の偏光依存性
辛 埴 (東大物性研)
09:50−10:15 偏光軟X線を用いた内殻分光の理論
魚住孝幸 (大阪府立大)
10:15−10:40 経路積分法による角度分解光電子分光理論
吉凱、那須圭一郎(KEK-PF)
10:40−10:50 休 憩
10:50−11:15 磁性半導体と遷移金属酸化物のXMCD
藤森 淳 (東大院新領域)
11:15−11:40 磁気秩序のない状態での局所「帯磁率」の温度依存性の測定で何が見えるか
宮原恒あき(首都大院理)
11:40−12:05 高速可変偏光を用いたエネルギー分散型表面XAFS法による表面の動的観察
雨宮健太(東大院理)
12:05−12:30 偏光アンジュレータによるVUV偏光変調分光法とアミノ酸CD測定への応用
渡辺一寿(産総研)
12:30−13:30 昼 食
13:30−13:55 SPring-8軟X線ビームラインにおける光電子顕微鏡研究
木下豊彦(SPring-8)
13:55−14:20 ナノ磁性体および遷移金属酸化物の内殻吸収円・線二色性
木村昭夫(広大院理)
14:20−14:45 Cr SDW 状態におけるL吸収端共鳴X線散乱の理論的研究
五十嵐潤一(茨城大理)
14:45−15:00 休 憩
15:00−15:25 気相分子の内殻励起・イオン化・解離ダイナミックス
上田 潔(東北大多元研)
15:25−15:50 円偏光を使った光二重電離過程から何がわかるか?
副島浩一(新潟大)
15:50−16:15 VUV・SXを利用した異性体識別質量分析の可能性
足立純一(KEK-PF)
16:15−16:30 研究会のまとめ
藤森 淳(東大新領域)
2013-08-28
by pfw3-admin@pfiqst.kek.jp
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