田中信忠氏(昭和大学薬学部)が日本薬学会奨励賞を受賞

2007年1月17日


 

昭和大学薬学部・講師の田中信忠(たなか・のぶただ)さんが,「創薬の標的と成り得る蛋白質群に関する構造機能相関研究」に関する業績により,平成19年度日本薬学会奨励賞を受賞されました。

受賞対象となる研究は,1)ヒト由来がん細胞運動刺激因子に関する研究,2)ヒト由来インターフェロン誘導型抗ウイルス酵素に関する研究,3)熱帯熱マラリア原虫由来加水分解酵素に関する研究,の3テーマを合わせたものです。

これらの研究は,本機構が中核拠点のひとつであるタンパク質研究の国家的事業「タンパク3000プロジェクト」の一環として行なわれたものです。また,いずれのテーマもAR-NW12AなどのPFのタンパク質結晶構造解析ビームラインを用いて得られた成果です。田中さんの受賞は,「創薬」という社会的に意義の大きな分野において,ターゲットとなるタンパク質の放射光による高分解能構造解析が重要な役割を果たしていることが高く評価されたことによるものです。また,日本薬学会の会員数は約2万名と国内で最も大きな学会のひとつであり,田中さんの受賞により,放射光の有用性が薬学分野の研究者コミュニティにも広く認識されることでしょう。

なお,授賞式および受賞講演は,本年3月末の日本薬学会年会において行なわれる予定です。

 


 

 



マラリア原虫の酵素(黄色)とヒトの酵素(水色)の活性部位の構造の違い。
中央付近に,ヒトの酵素では水酸基1個分のでっぱりがある。 この「でっぱり」にぶつかる(立体障害を起こす)ような阻害剤を設計すれば,マラリア原虫の酵素には効き,ヒトの酵素には影響を及ぼさない 「副作用の少ない」薬剤ができる。



<受賞対象の研究に関する記事>

インターフェロンによる抗ウイルス機構の解明に迫る 〜新しい抗ウイルス薬剤の創薬を目指して〜

ウイルスに立ち向かう免疫システム 〜「ハサミ」のスイッチをオンにする「鍵分子」〜

新しい抗マラリア薬を目指す 〜マラリア原虫酵素の構造〜


<関連サイト>


薬事日報 HEADLINE NEWS(2006年11月24日付)
http://www2.yakuji.co.jp/entry1686.html

社団法人 日本薬学会
http://www.pharm.or.jp/

社団法人 日本薬学会 第127年会(富山)
http://nenkai.pharm.or.jp/127/web/

 


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