八島正知氏(東京工業大学)が日本セラミックス協会賞(学術賞)を受賞

2009年6月26日


 

 東京工業大学・大学院総合理工学研究科・材料物理科学専攻・准教授の八島正知(やしま まさとも)氏が,第63回(平成20年度)日本セラミックス協会賞(学術賞)を受賞されました.日本セラミックス協会賞は,日本セラミックス協会会員のうちセラミックスの産業及び科学・技術の進歩発達に資し,学術研究及び技術上の業績顕著な者並びに日本セラミックス協会及び業界に対する功績顕著な者に贈り,これを表彰されるものです.そのうち学術賞は,セラミックスの科学・技術に関する貴重な研究をなし,その業績が特に優秀な者に授与されます.

 今回の受賞は,「高温における無機物質の結晶構造および電子・核密度分布の研究」に関する次の業績が高く評価されたものです.

  1. 室温から高温1900 Kまでの温度領域に試料を保持して,中性子粉末回折および高分解能放射光X線粉末回折データをその場測定可能な試料高温装置を開発し,高温での精密構造解析の基盤技術を確立したこと.
  2. これらの加熱装置を用いて様々なセラミック材料の結晶構造解析,電子・核密度解析を行なうことにより数多くの独創的な成果を上げ,いわば高温精密構造物性と呼ぶことができる新分野を開拓したこと.
  3. 数多くの酸化物イオン伝導体,リチウムイオン伝導体,混合伝導体および触媒の不規則構造と可動イオンの拡散経路を明らかにしたこと.
  4. 電子セラミックス,構造材料,バイオセラミックス,環境・エネルギーセラミック材料,光触媒およびナノ粒子の結晶構造,相転移機構および電子・核密度を明らかにしたこと.

 以上の成果は,セラミックス誌,一流学術誌,セラミックス協会年会・秋季シンポでのトピックス講演,PFシンポジウムでの招待講演 (2009年3月24日〜25日,つくば国際会議場エポカルつくば) などにおいて数多く発表されています。

 受賞対象となった研究成果のいくつかはPFのBL-6CやBL-4B2における実験と装置開発によるものであり,PFでの放射光利用研究がセラミックス材料の科学・技術分野に大きく貢献していることが,日本セラミックス協会においても高く評価されました.
 表彰式は,2009年6月5日に日本セラミックス協会第84回通常総会(東京都千代田区,霞ヶ関ビル)において行なわれました. 今回の受賞を受けて,八島准教授からのコメントです.「今回の受賞は,大変光栄であり,とても嬉しく思っています。これもPFのスタッフをはじめ数多くの先生方,共同研究者,研究室の学生諸氏,研究協力者,放射光・中性子実験施設など皆様のおかげであり,とても感謝しております.」

<受賞対象となった研究に関する記事>

News@KEK「加熱中の材料の構造を実況中継 〜高温放射光粉末回折システム〜」

PFトピックス「1900Kまで試料を高温加熱できる高分解能放射光粉末回折システムを開発」


<関連サイト>

日本セラミックス協会

日本セラミックス協会賞

日本セラミックス協会賞,最近の受賞者

PFシンポジウムでの招待講演の要旨(2009年3月24日〜25日,つくば国際会議場エポカルつくば)

東京工業大学 八島研究室

 

     

              八島 正知 氏                           表 彰 式                  

 


by pfw3-admin@pfiqst.kek.jp