組頭広志氏(東京大学)が第3回日本物理学会若手奨励賞を受賞

2009年4月27日


 

 東京大学大学院工学系研究科の組頭広志(くみがしら・ひろし)准教授が,第3回(2009年)日本物理学会若手奨励賞を受賞されました。本賞は,社団法人日本物理学会によって,将来の物理学を担う優秀な若手研究者の研究を奨励し,学会を活性化するために設けられました。2007年から実施され,今回の受賞は第3回目(2009年)にあたります。受賞した「領域5」は光物性分野の領域であり,受賞対象研究は「その場放射光電子分光による強相関酸化物超構造の電子状態研究」で,放射光を用いた物性物理への貢献が高く評価されての受賞となりました。授賞式および受賞記念講演は,2009年3月27?30日に立教大学池袋キャンパスで開催された日本物理学会第64回年次大会(春季大会)において行われました。

 組頭氏は,強相関酸化物超構造をその場で作製し,その電子状態を「その場で」解析可能な「レーザー分子線エピタキシー(レーザーMBE)-光電子分光複合装置」の開発を行いました。この装置により,原子レベルで構造を制御した強相関酸化物超構造の「表面・界面」電子構造を精密に知ることができるようになりました。これは,強相関酸化物のさまざまな興味深い物性の発現メカニズムを解明し,さらにはその物性を制御するために,非常に重要な情報となります。組頭氏は,この装置を用いて,1)単結晶薄膜表面を用いた3次元強相関酸化物のバンド構造・フェルミ面の実験的決定,2)基板応力を用いた物理圧力下における電子状態の特定,3)放射光のもつ「元素選択制」を利用した強相関酸化物ヘテロ界面における電子状態解明,などの「強相関酸化物の表面・界面研究」と位置づけられる新しい研究領域を開拓しました。これらの研究成果は,強相関酸化物における「表面・界面」研究の先駆けとして,この分野に大きな進展をもたらしました。これらの研究の一部はPFのBL2Cを用いて行われており,その成果は,News@KEK,PFトピックスなどでも紹介されています(下記リンク参照)。

絶縁体の界面に現れる金属 〜次世代素子の有力候補〜
http://www.kek.jp/newskek/2008/julaug/LaAlO3_SrTiO3.html

結晶基板からの巨大圧力により揃う電子軌道 〜マンガン酸化物における電子状態変化の直接観測に成功〜
http://pfwww.kek.jp/topics/pft080121.html

日本物理学会
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jps/

第3回(2009年)日本物理学会若手奨励賞受賞者一覧
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jps/WakateA/wakate2009.htm

日本物理学会若手奨励賞について
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jps/WakateA/wakate_about.htm

       

BL-2C光電子分光装置と組頭広志氏

 


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