1.概 要
このアンジュレータビームラインは軟X線領域の光( 250 〜 1400 eV )を使った分光研究に利用するために設計、建設された。特に、高分解能、高強度及び小スポットサイズを目指して設計されている。光源はU02アンジュレータ(
λu = 60 mm, 60周期 )であり、基本波の最低エネルギーは250 eV、高いエネルギー領域を利用する場合にはアンジュレータの高次光を用いる。分光器は不等間隔平面回折格子を用いた斜入射分光器である。
光学素子の概略を図1に示す。アンジュレータからの光は光源点から15 mに位置するアパーチャにより芯だけが取り出され、前置鏡M0によって入射スリットS1上に収束される。S1を抜けた光は10
m後方の回折格子直前の鏡M1により更に6 m後方に像を結ぶ。M1による収束光は回折格子により回折され、分散光が出射スリットS2上に結像する。S2から出た単色光は2枚組の後置鏡M2とM3によって試料位置に収束される。エネルギー走査は回折格子の回転のみによって行われ、エネルギー領域によって二枚の回折格子(1000
l/mm, 2200 l/mm)が選択的に使用される。
図1 ビームラインBL−2C光学素子の概略図。下の直線及び数字は光源からの距離を示す。
2.ビームライン分光器の基本性能
エネルギー範囲 | E = 250 〜 1400 eV |
---|---|
エネルギー分解能(実測値) | E/ΔE ≦ 〜 10000 |
フォトンフラックス(実測値) | 109 〜 1010 photons /sec/0.02%BW |
試料位置でのスポットサイズ(実測値) | 約 縦0.1 x 横0.9 mm2 |
図2 窒素ガスの1sσ→π*吸収スペクトル。黒丸はデータ、破線はVoigt関数(それぞれのピークを表す)、実線はフィッティングされたスペクトル。これより、ピークの自然幅は117 meV、光のエネルギー幅を示すガウス幅は40.9 meVという結果となる。このガウス幅は分解能E/ΔE約10000に相当する。
3.実験装置等
ビームラインには分光器を駆動するためのコンピュータが設置されている。このコンピュータにより、ピコアンメータを用いた3チャンネルのイールドスペクトル測定が可能である。
このビームラインに常設の実験装置はないが、軟X線発光分光器はこのビームライン専用で使われている。実験装置のビームラインへの接続に関しては以下の項目を参照し、事前にビームライン担当者と打ち合わせのこと。
Last modified: 2007-12-25