旧BL−3A X線回折/散乱実験ステーション
2006年夏に新しいBL-3が建設され、旧ステーションの機能はBL-6Cへ移転されました。
「ビームラインの改変・統廃合」ページをご参照下さい。

ビームライン担当者: 岩住俊明
5596(PHS:4278)
toshiaki.iwazumi@kek.jp



1.概  要

BL−3Aは、X線領域での回折、散乱、吸収実験を主目的としたビームラインである。ビームライン光学系は二結晶モノクロメータとその前後に設置された二台のX線ミラーシステムで構成され垂直、水平両方向の集光機能を持っている。二台のミラーはそれぞれ三枚構成、長さ1.5mの平板ミラーで2(+2)点支持・2点押しのベンダーによって光源および試料(あるいは検出器)を焦点とする放物面に曲げることができる。光源から縦方向に発散してきた放射光X線を一台目のM1ミラーで平行化し,二結晶モノクロメーターMoで分光した後,二台目のM2ミラーで 縦集光する機構になっている。また,水平方向には,開口角3mradのX線をモノクロメーター第二結晶でサジタルフォーカスし集光している。三角形櫛形の結晶をベンダーで片押しして円筒面に曲げている1)。 これらのミラー及びモノクロメーターは光軸上に出し入れが可能であり

のいずれかを選ぶことが可能である。


2.光学系性能

光学系
第一ミラー:
  白金蒸着熔融石英平板ミラー
  放物面曲げにより放射光を平行化
  臨界エネルギー、25keV固定
モノクロメーター:   Si(111)   サジタルフォーカス二結晶モノクロメータ   集光可能エネルギー範囲:6〜20keV(0.62〜2.0Å)
第二ミラー:   白金蒸着熔融石英平板ミラー   放物面曲げにより試料位置あるいは   検出器位置に放射光を集光   臨界エネルギー、5.5〜25keVの範囲で可変
エネルギー領域 6〜20keV(0.62〜2.0Å)(集光可能エネルギー範囲)
エネルギー分解能 〜2×10-4
ビームサイズ
100mm×5mm (non-focusing)
  2mm×1mm (focusing)

 




3.実験装置

BL−3Aビームラインは試料周りの空間が比較的広く試料への環境設定装置が設置しやすいのが特徴となっている。 現在実験ハッチの中には,三軸四円X線回折計3)が設置されている。UNIXワークステーションによって制御され,各種調整−測定用ソフトウエアが装備されている。データはMS−DOS・ASCIIファイル形式で記録される。本回折装置は共同研究を行っている新日鐵の持ち込み品であるが、共同利用実験者は使用可能である。回折計の機能の詳細は参考文献3)を参照のこと。使用希望者はビームライン担当者との事前の打ち合わせをすることが望ましい。ハッチの大きさは骨組み外形で3500(L)*3200(W)*2800(H)mmである。

付属装置
  1. Heクライオスタット
  2. 粉末回折実験用回転試料台
  3. 粉末回折実験用長尺ソーラースリット
  4. 高温炉制御装置
  5. 偏光解析装置

 

4.参考文献
  1. S.Sasaki, T.Mori, A.Mikuni, H.Iwasaki, K.Kawasaki, Y.Takagi and K.Nose, Rev.Sci. Instrum. 63, 1047,(1992).
  2. T.Mori and S.Sasaki, Rev.Sci. Instrum. 66, 2171,(1995).
  3. K.Kawasaki,Y.Takagi,K.Nose,H.Morikawa,S.Yamazaki and S.Sasaki, Rev.Sci. Instrum. 63, 1023,(1992).
  4. M. Yashima and M. Tanaka, J. Appl. Cryst. 37, 786-790, (2004).


Last modified: 2006-10-10