旧BL-3C3 白色磁気回折ステーション
2006年夏に新しいBL-3が建設され、旧ステーションの機能はBL-3Cとして旧BL-3C3と統合されました。
「ビームラインの改変・統廃合」ページをご参照下さい。

担当者:安達 弘通
6025 ( PHS : 4709 )
hiromichi.adachi@kek.jp


 

1.概 要

     本ステーションでは、白色磁気回折とよばれる実験が行われている。偏向電磁石から放射される白色X線のうち電子軌道面から僅かに外れた方向に出てくる楕円偏光X線を用いて、これを強磁性体(またはフェリ磁性体)の試料に照射させ、水平90度の方向に回折されるX線強度の磁化方向依存性から磁気形状因子を見積もる実験である1, 2。中性子の磁気回折実験と異なり、試料の磁化を適当な方向に向けることによってスピン磁気モーメントと軌道磁気モーメントの形状因子を分離して求めることができるのがこの手法の特徴の1つである。

     

2.性 能

    光学系

    下図参照 *

    エネルギー領域

    5 30 keV0.3 < sinθ/λ < 1.7 -1

    分解能

    ビームサイズ

    0.2mm (h) × 0.2 mm (v)(試料前スリットにて成形)

    ビーム強度

    2 × 1013 photons / s / mrad2 in 0.1% b.w. at 10 keV(計算値)**

     

     

     

     

     


    * ビームラインには定置出射型の2結晶分光器が設置されており、単色モードでの利用も可能である。
    ** 磁気形状因子の測定時間はおよそ3日/データセット(試料の「磁気モーメント/電荷」比に依る)。



                  図1. BL3C3の配置

     

3.実験装置等
     白色磁気回折実験装置は回折計、試料部、電磁石、検出器系、及びこれらを独立あるいは統合してPCから操作する制御システムから成っている。他のステーション等からの借用品も使用しているため、利用申請に当たっては事前にステーション担当者と打ち合わせをすることが必要である。

     

4.典型的な実験例

白色磁気回折実験は形状因子の測定を通して以下のような研究目的に利用することが可能である。

5.参考文献

    1. 伊藤正久、日本結晶学会誌 39, 60-66 (1997).
    2. S. P. Collins, D. Laundy, and A. J. Rollason, Phil. Mag. B 65, 37-46 (1992).
    3. 例えば、M. Ito et al., J. Phys. Chem. Solids 65, 1993-1997 (2004).
    4. 例えば、H. Adachi, H. Kawata, and M. Ito, Phys. Rev. B 69, 212409 (2004).

Last modified:2006-10-10