PFの東日本大震災における対応状況について
3月11日に発生しました東日本大震災に関し、多くの方にご心配をおかけしております。また、多数のお見舞いのメールに感謝致します。震災当日の朝に2010年度の共同利用実験を終えていたこともあり、幸いにも怪我人等を出さずに済みました。
このページでは、震災対応関連の状況をお知らせします。
機構の関連ページ(http://www.kek.jp/quake/ja/index.html)もご参照下さい。
【これまでのお知らせ】
8月9日(火) 8月2日(火) 6月29日(水) 6月20日(月) 6月15日(水) 6月14日(火) 5月26日(木) 5月25日(水) 5月18日(水) 5月13日(金) 5月9日(月) 4月27日(水) 4月20日(水) 4月15日(金) 4月12日(火) 4月8日(金) 4月4日(月) 3月31日(木) 3月28日(月) 3月24日(木) 3月23日(水) 3月22日(火) 3月18日(金) 3月16日(水)
震災枠でPFのユーザーを受入れていただいたALSが、ALS News Vol. 324 にその記事を掲載しています。
ALS Hosts Photon Factory Users
[KEKトピックス] 2011/8/9
震災による実験停止に海外の放射光施設も支援
PFユーザーを受け入れていただいた、アメリカSLAC National Accelerator Laboratoryと台湾NSRRCのニュース記事が公開されています。
[SLAC Feature Story] 2011/7/21
SLAC Welcomes Displaced Japanese Scientists
[NSRRC News Brief] 2011/7/29
An Appreciation Party from KEK Users of Japan
[運転スケジュール] 2011/6/29
2011年度後期運転スケジュール(2011年9月~2012年3月)が決定しました。
放射光科学研究施設のビームライン・実験装置の調整は概ね順調に進み、既に以下のビームラインではユーザの皆様のご協力を得た評価実験を行っています。多くのビームラインでは震災前と同等の実験結果を得られています。
BL-2C、3B、3C、4A、4B、4C、5A、6C、7A、7C、8A、9A、9C、10A、10C、11A、11B、11D、12C、13A、14B、14C、15A、15B、15C、16A、17A、18C、20A、27A、27B、NE3A、NE7A、NW2A、NW10A、NW12A、NW14A
以下のビームラインについても、調整が進み、近日中にユーザーの協力を得た評価実験を開始します。
BL-1A、3A、8B、18A、28A/B、NE1A
[KEKトピックス] 2011/6/15
PF-ARで実験機器調整を開始 ユーザーにも協力依頼
[KEKハイライト]
復旧作業レポート・フォトンファクトリー
[KEKトピックス]
フォトンファクトリーで実験機器調整を開始 ユーザーにも協力を依頼
入射器下流部ではPFへの入射に使用しない上流部の機器を流用する等の仮復旧を行ない、連休中もRFエージングを行い、5月10日より試運転を開始しました。蓄積 リング、ビームラインでも同様に当面使用しない実験装置等からポンプ等使える機器を流用し、復旧に努め、ビームラインのベーキングも連休を通し行いました。 この結果、5月16日に入射器からPFへの電子の入射、PFリングの試運転を開始する予定です。
[プレスリリース]
震災によるフォトンファクトリー共同利用実験停止の緊急対応について
機構長コラム「震災によるKEKの被害状況と今後の復旧に向けて」が公開されました。
KEK全体の被害状況(東海キャンパスを含む)や復興に向けてのスケジュールが含まれています。
34 学会(44 万会員)会長声明 「日本は科学の歩みを止めない ~学会は学生・若手と共に希望ある日本の未来を築く」が表明されました。
PF-ARのNE棟におけるシールド壁は鉛、コンクリートブロックの積み直し、補強工事が必要ですが、それ以外のビームラインに設けられたリングと実験ホールを仕切る鉛積みは比較的容易に修復でき、大きな損傷は見られませんでした。
PF、PF-ARの全ビームラインに通電して、初期的な試験を行ってきました。真空に関しては、真空配管やベローズに損傷が生じて大気に晒されたビームライン、実験装置があり、漏れ箇所の確認、部品交換、真空立ち上げ、ベーキング等の作業が進められています。架台上から転落して破損した回折計(6C)、レー ルから脱線した回折計(18B)、転倒した実験槽、試料準備槽(16A)等は深刻な被害ですが、これら以外では分光器の回折格子切り替え機構のはずれ、十数台のターボ分子ポンプや何台かの真空計、PCの被害が目立ちます。分光器や精密機器の健全性についてはより慎重な評価が必要ですが、むしろ停電のために駄目になった生物試料の被害が大きいようです。
4月11日にも大きな余震がありましたが、被害は見られませんでした。
入射器は連休中もRFのエージングを行い、5月中旬にはビームを出し、全てが順調に進めば、まずPFへ、その後PF-ARへ電子ビームを入射することが期待されます。
[PFからのお知らせ]
アステラス病態代謝研究会が被災した生命科学研究者むけの緊急研究助成金公募を始めました【第一回目の締め切り:4月18日(月)】。
[PFからのお知らせ]
放射光研究者コミュニティの皆様へ-KEK機構長からのお願い
3月末より順次ビームラインに通電して、インターロック、ビームライン真空、制御機器等のテストを行ってきました。4月1日までに、BL-7、15、16、 27、28、1、2、3、4、5、6の11本でテストを行ってきました。いくつかの真空計やターボ分子ポンプは正常に稼働しませんでしたが、多くの真空ポンプ、真空計、インターロックシステムは正常に稼働しています。BL-28ではインターロ ック機器を納めたラックが転倒しましたが、引き起こした所、真空計にトラブルが見られましたが、インターロックシステムは正常に稼働しました。今週前半にはPFリングの全ビームラインのインターロック、真空の確認を終える予定です。今までの状況を見ますと、被害は懸念したよりも軽いことが期待されます。
[PFからのお知らせ]
他の放射光施設利用のアンケートについて(締切:4月5日)
[PFからのお知らせ]
「PF出版データベース」が稼働しました。皆様には今まで以上に論文登録にご協力いただきますようお願いいたします。
[PFからのお知らせ]
・3月23日に4号館、24日にPF研究棟、28日には一部を除き機構全域に通電されました。但し、使用電力抑制のため、暖房禁止、照明は最小限としています。
・PF、PF-AR地区のクレーンの安全点検が3月30、31日に実施されます。
[PFからのお知らせ] PF出版データベースは電力が供給されていないために現在稼働していません。通電された場合もサーバーの安定稼働が確認されるまでは時間がかかると思われます。皆様にはご不便をおかけいたしますがどうぞご了解ください。
[PFからのお知らせ] 放射光共同利用実験再開の見通し(秋になります)と 9月で有効期限を迎える課題の取扱いについて
[PFからのお知らせ] 国内出張の取りやめに伴い発生するキャンセル料について
・本日3月22日(火)13時半から市水が復帰しました。
・23日(水)10時から4号館に通電予定。
・24日(木)14時からPF研究棟に通電予定。
2011年3月11日14:46に発生した東日本大震災によるつくば市の震度は6弱であり、高エネルギー加速器研究機構も多大な被害を受けました。当日朝に共同利用実験を終了していたこともあり、幸いにも機構内で人的な被害はありませんでした。また、自家発電に支えられて機構内PHSを使った連絡も行えました。加速器、ビームライン関係について、目視点検を行いましたので、その概要を報告します。
インフラ系: 碍子や変圧器の破損等いくつかの変電所に多大な被害を受けています。また、加速器運転に必要となる冷却水系統、生活に必要な市水(上水)系統でも、タンクや揚水系の損傷を受け、冷却に必要なガスは復帰していません。
研究棟に関しては安全を確認しながら、順次PC、ネットワーク用の通電が開始されていますが、照明、空調等の電力に関しては予定が立っていません。
入射器: 線型加速器本体ではRFキャビティーがいくつかビーム方向に10cm程度ずれ、真空ベローズが完全に壊れているところが何か所かあり、真空が破れています(写真1)。トリプレットQマグネットも一つ落下しています(写真2)。また、制御用ラックの転倒等も観測されています(写真3)。低速陽電子施設も含めライナック棟の地下で泥を含んだ地下水の放出がありました。
写真1 破損したベローズ |
写真2 転倒したQマグネット |
写真3 転倒した制御ラック |
写真4 破損したベローズ管 |
PF 2.5GeVリング: 磁石の転落等大きな損傷は見られませんが、各所で被害が発生しています。震災後機器への通電がなされていないため、真空の状態等は未確認です。
北側のRFセクションのゲートバルブ下流のベローズに穴が開き、大気になっています(写真4)。キャビティーは真空が保たれていますが、二台のRF空洞間のシールド・ベローズ管に衝撃力がかかり、変形しました。内部のRFシールドも変形している可能性があります。南側RFでもベローズの変形が見られます。全面的なアラインメントが必要と思われます。入射路では建屋継ぎ目での段差が生じています。また、各所でベローズのずれが観測されています。これらの他、光源棟の地下では制御用ラックの転倒等が発生しています。
PF ビームライン:
実験ホール内では、インターロックをはじめいくつかの制御ラック等が転倒、移動しています(写真5、6、7)。真空槽の転倒(写真8)や回折計の移動レールからの脱線(写真9)や架台からの転落(写真10)も見られます。内部機器の損傷状況や信号ケーブルの損傷については今後の検査項目です。このほか、無施錠の重量ツールラックの転倒(写真11)や固定が不十分であった戸棚の転落等が見られます。また、PC用モニターの転落や扉のない戸棚に収納されていた機器類が多数散乱しています(写真12)。
写真5 BL-20Aの様子 |
写真6 BL-28 インターロックラックの転倒 |
写真7 BL-7Aの様子 |
写真8 BL-16の様子 |
写真9 移動レールから脱線した回折計 |
写真10 架台から転落した回折計 |
写真11 BL-15の外周部で転倒したツールボックス |
写真12 BL-9 2階の散乱した機器 |
PF-AR 6.5GeVリング: 建屋の継ぎ目で段差が生じ、アライメントが必要となっています(写真13)。また、リングと実験ホールの間のシールド用鉛ブロックにずれが生じています(写真14)。地下に設置されていたためか、ディスプレイ等の落下はありますが、目視点検の範囲では実験装置に大きな損傷は見られません。今後の通電試験により、より詳細な状況を把握します。
写真13 |
写真14 PF-ARシールド壁のゆがみ
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いずれの機器に関しても今後、通電試験、動作試験を行い、不良箇所を明らかにし、修復作業を進めます。また、アラインメントの測量等が必要です。
今後の見通し:東京電力で計画停電が実施され、オフィス、加速器トンネル、実験ホールの照明、空調や実験機器への通電が制限されるという極めて制限された電力事情の中での作業となりますが、何とか解を見いだして、一日も早い運転の再開を目指したいと考えています。
○ 福島原発関連
環境研と共同して空気のサンプリングをしたデータをwebにあげた。
福島からつくば地区へ避難者が来ており、放射線測定の協力を行う。
○ 施設部関係
1. 電力: 安全系を中心に復旧に努めている。許可なく電源を使用しないこと。
2. 市水: 週明けに試験送水を予定。
3. ガス: 復旧予定未定。
4. 吾妻2丁目職員住宅: 新たに見つかった漏水は場所が深く、復旧は未定。
○ その他
1. 節電チームが点検をしている。無断で電気を使用しないこと。無断利用を見つけたら切って良い。
2. 3月22日(火)10:00に3号館に通電する予定(エレベータは使用不能、照明、暖冷房は使用禁止)。順調にいけば23日(水)10:00に4号館。以降の予定は22日に検討。
写真1 PF研究棟2階玄関ホールの天井 |
写真2、3 PF実験ホール内 |