細胞の中身 of ERL情報サイト



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空間コヒーレンス特性を活かしたサイエンス

細胞の中身を原子レベルで観る

 X線は物質に対する透過性が高く、レンズにより結像させることが困難です。そのため、空間コヒーレンスの高いX線を利用して、物質からの散乱像を記録し、この散乱像をコンピュータ上で実像に戻すことにより、物質の3次元像を再生するイメージング手法が開発されています。散乱像と実像はフーリエ変換の関係にあるので、高分解能な散乱像が得られれば、原理的にはその散乱像から原子レベルの実像を得ることも可能になります。このような測定手法を、コヒーレント回折イメージング(Coherent Diffraction Imaging; CDI)や、X線回折顕微鏡(X-ray Diffraction Microscope; XDM)などと呼びます。

 この手法を用いて、1個の真核細胞(*1)や細胞核の中の染色体(*2)の3次元像を再生する試みが世界各地で進みつつあります。現在の光源から得られる空間コヒーレントX線の光子数はまだそれほど多くありませんが、ERLで空間コヒーレンスが向上することにより、より高分解能な顕微イメージングが実現することが期待されます。


(1) Xiaojing Huang, Johanna Nelson, Janos Kirz, Enju Lima, Stefano Marchesini, Huijie Miao, Aaron M. Neiman, David Shapiro, Jan Steinbrener, Andrew Stewart, Joshua J. Turner and Chris Jacobsen; "Soft X-Ray Diffraction Microscopy of a Frozen Hydrated Yeast Cell", Phys. Rev. Lett. 103, 198101 (2009)
(2) Yoshinori Nishino, Yukio Takahashi, Naoko Imamoto, Tetsuya Ishikawa, and Kazuhiro Maeshima; "Three-Dimensional Visualization of a Human Chromosome Using Coherent X-Ray Diffraction", Phys. Rev. Lett. 102, 018101 (2009)