人工光合成 of ERL情報サイト



物質の究極の姿を探る光
エネルギー回収型ライナック光源(Energy Recovery Linac)情報サイト

フェムト秒パルス特性を活かしたサイエンス

人工光合成への挑戦

 持続可能な社会の実現に向けて、化石燃料や原子力に依存せず、自然エネルギーを効率的に利用することが、人類の喫緊の課題となっています。中でも、植物の光合成反応に倣って、高効率な太陽光エネルギー変換を人工的に実現する試みが、世界中で進められています。高効率なエネルギー変換を実現するためには、まず光合成反応それ自身を理解する必要があることは、言うまでもありません。光合成反応では、①光励起による電荷分離状態の生成、②電荷分離状態の酸化力による水分子の酸化、③酸素発生というプロセスが協奏的に進行します。それぞれの反応素過程は、光によって誘起される高速な化学反応であり、そのメカニズムの解明のためには、個々の反応素過程における分子構造および電子状態の変化を時々刻々と追跡する必要があります。

 放射光X線は、これまで、物質の静的な分子構造や電子状態を精密に解析するのに威力を発揮してきました。さらに、ERLのフェムト秒パルス特性を活かすことにより、反応素過程において超高速に変化する分子構造や電子状態を、時々刻々と追跡することにも威力を発揮すると期待されています。