2011S2-003
高分解能電子分光法を用いたグリーンナノデバイス構造の動作環境operando解析

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●基本情報
 ●実験責任者:尾嶋 正治(東大院工)
 ●課題有効期間:2011/10〜2014/9
 ●実験ステーション:2C, 28A/B
 ●関連課題:2008S2-003(高分解能ナノ分光法を用いた新機能物質の電子状態解析)
      2005S2-002(コンビナトリアル高分解能光電子分光による半導体・磁性体ナノ構造のin-situ解析)
      2002S2-002(半導体・磁性ナノ構造の高分解能電子分光)
      97S1-002(量子ナノ構造形成過程・新物性解析の研究)

●課題の概要
 21世紀の低炭素社会実現を目指したグリーンイノベーションの一環として、1)発電デバイス、2)省電力デバイス、3)蓄電デバイス、というグリーンナノデバイスの開発が強く求められている。我々はこれまで、放射光を用いてこれらグリーンナノデバイス用ナノ材料の界面を高分解能で解析し、材料・素子研究者にフィードバックして来た。得られた成果は数多くの論文や国際会議で発表し、また新聞発表も行ってfunding agencyから高い評価を受けている。
しかし、放射光解析で高分解能の電子状態が得られるようになってくると、上記グリーンナノデバイスの性能・機能とより密接に結びついた高度な情報が強く求められるようになってきた。そこで今回の2011年S2課題では我々の解析システムにバイアス印加ステージを付加して、デバイス動作環境(operando)における電子状態の解析をめざし、真に機能と直結した放射光解析法を確立することをめざす。
1)強相関系レーザーMBE装置とUHV中でSES-2002光電子分光装置を結合させたシステムを継続して使用し、強相関系酸化物超格子構造や埋もれた界面の電子状態をhigh-throughputで解析する。さらに、バイアス印加した金属/遷移金属酸化物薄膜/金属界面の電子状態、化学状態を解明することで、酸素イオンの高速移動によるReRAMのメカニズムを検証することが出来る。
2)LSI用high-kゲート絶縁膜として最も注目されているHfSiON極薄膜などについて、ゲート電極/high-k膜/Si基板というMOSダイオード構造に電圧印加させなから光電子分光測定を行うことで、非接触で欠陥エネルギー分布を解析する新しい手法を開発する。これにより、欠陥密度分布と電極/ high-kゲート絶縁膜に形成される界面遷移層との相関を明らかにし、欠陥形成防止手法を提案することが可能になり、LSI素子の安定化、極低消費電力化に大きく貢献出来る。
3)リチウムイオン電池に使われているLixCoO2に代わる安価で安定性が高い正極材料を探索するため、Li充放電後の3d遷移金属の価数および電子状態を共鳴光電子分光によって解明し、電子状態の観点からLixFePO4, LixMnyFe1-yPO4など正極材料新物質の可能性を解明する。これによって高出力密度で高エネルギー密度のポストリチウムイオン電池の開発に貢献出来る。

●成果発表
 ●論文


 ●PF Activity Report

 ●PFシンポジウム