2015S2-002
航空機用構造材料の耐熱性・耐環境性向上のための材料へテロ構造因子解明

Last modified 2024-02-15 by s-proposalpfiqst.kek.jp


→関連サイト:戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)革新的構造材料

●基本情報

●実験責任者:木村 正雄(KEK-PF)
 ●課題有効期間:2015/4〜2016/3
 ●実験ステーション:8A/B, 9A, 9C, 11A ,11B, 12C, 13A/B, 14B, 14C 15A1, 16A, AR-NW2A, 低速陽電子

●課題の概要

  次世代航空機用材料の中で特に高機能と信頼性を必要とする機体構造材やジェットエンジン用ガスタービン部材では高温長時間使用時の環境下において物理的、化学的な要因が組合わさり劣化が進行する。部材としての供用時間を推定するためには、材料の劣化、亀裂や破壊にいたるメカニズムの考察とその発生にいたる時間の考察が重要となる。一般に破壊のプロセスでは、欠陥生成→亀裂発生・進展→破壊にいたると考えられ、メカニズム解明にはそれぞれのスケールに対応した計測技術が必要である。
 そのためには、特にその初期、つまり空孔欠陥が合体して生じる数10nmの欠陥の生成、それが数 100 nmの初期亀裂となり、数μm以上の亀裂として進展して破壊にいたる様子を観察することが必要となる。そこで、次世代航空機用材料の中で最も重要な3つの材料系であるFRP、耐環境性セラミックスコーティング、耐熱合金等の複合材料について以下の三点からの計測技術による研究を実施する。
(1)放射光X線CTを用いて、亀裂の発生直後の初期状態と3次元空間中を異方的に進展する過程を非破壊で3次元的挙動を解明する
(2)放射光XAFS、XRD、STXMを用いて、初期亀裂が発生もしくは分岐する部位の化学結合状態(例、高温酸化で変質している)に関する情報を得る
(3)陽電子消滅法を用いて、亀裂につながる材料中の亀裂発生前に形成される空孔欠陥の観察を行う

こうした、マルチスケールの劣化や破壊の観察により得られた情報を、下記の通り計算科学(熱力学安定性、マイクロメカニックス)に展開して材料イノベーションにつなげる。
1. 複合材料部材全体の強度を決めている材料の構造不均一性の最も弱い部分をみつける。
2. その最弱部が、実環境下(高温、外力印加)で、欠陥生成→亀裂発生・進展→破壊にいたる動的な経時変化を明らかにする。
3. 多面的総合計測手法により明らかになった複合材料中の亀裂の進展という速度論的もしくは非平衡論的因子を、計算科学と融合し、航空機用部材全体としてのマテリアルズインテグレーションを実現する。

 

●成果発表
 ●論文


 ●PF Activity Report

 ●PFシンポジウム

●その他