PFリング直線部増強計画の進捗状況

 

放射光原研究系 本田 融
「PHOTON FACTORY NEWS Vol.22 No.3, November 2004」より
 

PFの2.5 GeVリングは2005年2月末まで運転を続けた後,約半年間の運転停止期間をもらって直線部増強の改造に入ります。この改造計画の目的は,既存直線部の延長と,BL-1,BL-3,BL-15,BL-17の光源部に短直線部を新設することです。図1に示すように改造範囲はリング全周の半分強にわたります。この範囲にある四極電磁石はすべて更新され,それに伴って偏向電磁石用を含めた真空ダクトもすべて更新されます。四極電磁石はボア径が小さく高い磁場勾配を発生する薄型のものに替わり,その設置場所を偏向電磁石にできるだけ寄せることによって挿入光源用のスペースが新たに生み出されます。外径の大きい新四極電磁石との干渉を避け,また光取り出し角度の変更にも対応するために該当部分の基幹チャンネルはすべて改造が必要となります。その他に入射用セプタム電磁石の増強も必要となります。

 基幹チャンネルは全部で13本の改造が必要ですが,2002年度以降通常の運転停止期間を利用して順次先行改造を進めており,2004年の夏季停止期間中に改造作業を行ったBL-14,BL-16をあわせると,すでに11本のラインで改造を終えています。BL-14については壁外のビームライン移設もこの夏に同時に完了しました。
この夏季停止期間中には2台のセプタム電磁石をより強い磁場を出せるものに入れ替えました。9月の立ち上げより新しいセプタム電磁石を用いて入射が行われています。キッカー電磁石を含めた入射用パルスマグネットの動作は良好で,入射タイミング系の調整によるLINACのエネルギー変動の改善やリングのバンチ選択システムの改良と相俟って入射レートが以前よりも高くなっています。

 2003年度には改造に必要となる四極電磁石46台の製造を行いましたが,本年度は納入された四極電磁石の磁場測定,調整を行うとともに,新しい四極電磁石用電源の製作を進めています。昨年度にはまた偏向電磁石部の真空ダクトを試作し,予備の偏向電磁石と本番用の新四極電磁石を用いて組み立てテストを行いました。試作結果を踏まえて今年度はじめには改造に必要となる真空ダクト一式の入札を行い,改造に間に合わせるべく製造が進められています。改造で新設される直線部は有効長が約1mの短い直線部ですが,短直線部用挿入光源の第一号機としてBL-17に真空封止の短周期アンジュレータを設置します。今年度はこの短周期アンジュレータ用の磁石列の製作と磁場調整を行っています。

 来年秋の立ち上げ日程を確定するために,リング改造作業工程の具体的なつめを急いでいるところです。日程の決定には入射器を共有する他の電子加速器の立ち上げ予定ともかかわって来ますが,次号のPFニュースでは確実な運転再開予定をお知らせできると思います。

 

図1. PFリング直線部増強計画の概要

 

図2.セプタム電磁石更新作業


図3.偏向電磁石部真空ダクトの試作,組立て

 

 

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