PFリング直線部増強計画その2−改造日程

放射光源研究系 本田 融
(Photon Factory News Vol.22 No.4 Feb, 2005 より)

PF 2.5 GeVリングの直線部増強のためのリング改造本番がいよいよ迫ってきました。前号のPFニュースでお伝えしたとおり,2月28日朝9時をもってユーザー運転を終えて約6か月間で改造作業を行います。再立ち上げ開始は9月20日,そしてユーザー運転再開は10月12日が予定されています。

PFリングの四極電磁石や偏向電磁石はすべて上下に2分割できるように製作されています。運転停止後すぐにBL-13からBL-18までと,BL-27からBL-4の範囲にある電磁石をすべて分割してビームダクトを撤去することから改造作業が始まります。今回の改造では偏向電磁石と既存の挿入光源は一切その位置を変更しませんが,リングトンネル北側にある搬入口を使って四極電磁石の運搬を能率よく行うためにMPW#28は一時的にリングから切り離して退避させることになっています。

真空ダクトの撤去が終了したら,次に該当部分の四極電磁石を架台ごと撤去します。今回撤去する四極電磁石はほとんどが1982年にPFリングが初めて放射光を発生したときからずっと使い続けてきたものです。撤去される四極電磁石のボア系が110 mmであるのに対して,新しい四極電磁石のボア径は70 mmと大幅に小さくなります。ちなみに1997年の高輝度化改造時に設置したノーマルセル部の四極電磁石のボア径は80 mmです。ボア径を小さくすることで今までよりも大幅に全長の短い電磁石でより強い収束力が出るように設計されています。四極電磁石の撤去後,リングトンネルの床面にベースプレートを設置し直し,その上に新しい四極電磁石を固定していきます。直線部には原則として四極電磁石がダブレットで配置されています。2台の四極電磁石を同一の架台上に載せてアライメントを済ませた状態でリング内に運び込んで設置していきます。

電磁石をすべて設置しリング全体のアライメントを行った後,またすべての電磁石を上下に分割した状態でビームダクトの設置が行われます。長尺のビームダクトの運び込みは6月上旬には完了し,6月中にはリング全体の真空がつながることを目標にして工程を組んでいます。

今回の改造では四極電磁石電源についても1982年の営業開始以来使い続けてきたものをすべて更新することになりました。全部で15台の電源が電源棟に新たに設置されます。7月から8月にかけてはリング内の作業に加えて,電磁石電源の立ち上げ調整や電磁石制御系の更新,通電テストが予定されています。

またBL-17の光源としてあらたにできる短直線部に短周期アンジュレータの第一号機が設置されます。現在周期長12 mmと16 mmの2種類の磁石列について設計,製作と最小4.5 mmのギャップに対応した磁場測定,調整方法の確立を目指した試験を行っています。BL-17にはこのうち16 mmの磁石列を用いたアンジュレータが設置されることになっています。

9月20日の立ち上げ開始後約3週の調整,真空焼き出し運転を予定しています。順調に立ち上がればこの期間に100 A hから200 A hの積分電流値を稼ぐことができ,結果として10月12日のユーザー運転開始時はビーム寿命が100 A minから200 A min程度に回復していると推定されます。1997年の高輝度化後は約半年の運転期間で500 A min程度すなわち,400 mAで1200 min (20 h)まで寿命が延びています。今回の改造は8年前の改造よりも多くのダクトが更新され,またボア径の大幅な減少によってビームダクトに細い部分が増えるので寿命回復には不利な要素もありますが,高周波加速の変調によって寿命を延ばす方式も確立されているので,高輝度化改造後と同程度の寿命回復ができると期待しています。

 

図1 PFリング直線部増強計画の改造範囲


図2 周期長12mmの短周期アンジュレータの下側磁石列

 

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