PFリング直線部増強計画の進捗状況その3

放射光源研究系 本田 融
(Photon Factory News Vol.23 No.1 May, 2005 より)


PFの2.5 GeVリングは直線部増強のため2月28日にユーザー運転を休止して改造作業に入りました。約6か月半の運転休止期間を経て,再立ち上げ開始は9月20日,そしてユーザー運転再開は10月12日と予定されています。

運転停止期間中のリング改造作業の大まかな工程を表1にまとめました。


表1 PFリング直線部増強計画の改造工程表


今回の改造区間は28台ある偏向電磁石のうちB13からB18までの区間と,B27からB04までの区間です。まずはじめの1か月間で当該区間にある四極電磁石とビームダクトの撤去を行います。MPW#28付近のリング北側搬入口を使って電磁石やビームダクト,挿入光源などの重量物を運搬します。運搬経路を確保するためMPW#28を真っ先にリングから切り離して退避させました。写真1はMPW#28移動直前の付近の様子。写真2はMPW#28移動後の通路を通って四極電磁石を運び出している最中の画像です。3月末の段階で作業は順調に進行しており,電磁石とビームダクトの搬出作業はすべて完了し,リング内の直線部は写真3,4に掲げたように挿入光源と偏向電磁石のみが残された状態となっています。

 

写真1  MPW#28付近、MPW移動直前の様子。BL-27基幹チャンネルの真空ダクトを取り外したところ。


写真2 MPW#28付近、四極電磁石および架台の搬出作業。電磁石の搬出通路を確保するためMPW#28はリングから切り離して退避中(写真右奥)。

写真3 四極電磁石とビームダクトが撤去されたリング内,MPW#16からその下流部をのぞむ。後方に見える2台の偏向電磁石の間に短直線部が新設され,短周期アンジュレータが設置される。

写真4  四極電磁石とビームダクトが撤去されたリング内,U#2(右奥)の直下流付近。偏向電磁石の右横のポストはアライメント用基準ポスト。

 

次の1か月間には,リング床面へのあらたなベースプレートの設置や電磁石ケーブル用貫通穴空け作業に続いて新しい四極電磁石の搬入,設置が予定されています。新しい四極電磁石は昨年度中にすでに磁場測定を終え電源棟でスタンバイしています。また新しいビームダクトは光源棟の地下機械室においてインストール前の真空焼き出しが行われています。この記事が配布される頃には四極電磁石の搬入,設置が完了し,新しいビームダクトの設置もおおむね完了するまで作業が進んでいるものと思われます。BL17とBL27の2本の基幹チャンネルの新規設置作業も6月中に完了する予定です。

リング内の作業と並行して電源棟では電磁石電源の更新作業が進められています。四極電磁石の増加と電源の増強に伴って電源棟とPFリングの間にあらたに電源ケーブルを追加配線します。このケーブル配線作業も4月中に進められることになっています。

次号のPFニュースでは四極電磁石やビームダクトおよび新しい短周期アンジュレータがインストールされてリニューアルしたPFリングの様子を報告できると思います。

 

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