PFユーザー向け化学安全資料
放射光科学第1・第2系化学薬品等取扱責任者: 北島 義典
yoshinori.kitajima@kek.jp
2017年 3月30日修整
[0]はじめに
- このページでは、PFの共同利用実験ユーザーを対象として、化学安全についてまとめてあります。PF内部の職員については異なる点もありますので、ご注意下さい。
[1]KEKにおける化学安全管理→環境安全管理室ホームページ及び“化学薬品等取扱いの手引き”参照
- 化学薬品及び有害物質の管理は、防火・保健・環境保全など様々な観点から行われます(関係法規は消防法、労働安全衛生法、毒物及び劇物取締法、高圧ガス保安法、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律[通称PRTR法については環境省ホームページ内の説明を参照のこと]、茨城県研究学園都市下水道条例など多岐にわたっています)が、KEKでは一元的な保安管理体制<機構長と化学薬品等取扱主任者=平雅文技師(放射線科学センター)が機構全体の責任を担い、各系に化学薬品等取扱責任者が定められている>を採っています。
- 特殊材料ガス(→特殊材料ガスのリスト)に関しては、法規により、KEK全体に1人の特殊材料ガス安全管理者=足立純一研究機関講師が定められています。
[2]化学薬品等の範囲
- KEKでは、化学薬品及び有害物質として“労働安全衛生法施行令別表3に掲げる特定化学物質及び別表6の2に掲げる有機溶剤、毒物劇物取締法別表1に掲げる毒物、別表2に掲げる劇物及び別表3に掲げる特定毒物、消防法別表に掲げる危険物(→消防法が規定する危険物のリスト)、その他試験研究に使用する化学物質で、人体の健康及び生活環境に有害な物質”と定めています。したがって、いわゆる試薬ビンに入っている“化学薬品”だけでなく、試料(固体試料だけでなくガスや溶媒、生物試料を含む)、オイル、塗料、エッチング液なども含まれますので、ご注意下さい。PFでは以下の除外品目以外の全ての物質(気体を含む)を化学薬品等とすることにしています。
除外品目:食料品・日用品など通常の生活環境で用いられるもの(乾電池・蛍光灯を含む)、ホウ素・炭素・アルミニウム・ケイ素・チタン・鉄・コバルト・ニッケル・銅・亜鉛・ガリウム・ゲルマニウム・モリブデン・ロジウム・パラジウム・銀・インジウム・スズ・タンタル・タングステン・イリジウム・白金・金の単体金属およびその酸化物で作られているもの(ガス・粉末を除く)、稀ガスおよび窒素・酸素のガス(液化したものを含む)、ステンレス鋼など有害でない合金で作られているもの、ガラス・ゴム・窒化ホウ素・炭化ケイ素など有害でない物質で作られているもの、カプトンなど有機物のフィルム、潤滑剤中の二硫化モリブデン、装置で現に使用されているオイル、ハンダ合金、写真フィルム、IP、蛍光板。(放射性物質・核燃料物質は、別の規制あり)
- ガスに関しては、可燃性のもの、毒性のもの、特殊材料ガスをまとめて特殊ガスと称しています(→特殊ガスの安全に関する説明)。
[3]化学薬品等の持ち込み「試料・化学薬品等持ち込み・使用届」
- KEKの一般的な手続きとしては、化学薬品等を持ち込む場合にも「化学薬品等入手願」の提出(化学薬品等取扱責任者および化学薬品等取扱主任者の承認)が必要ですが、PF独自のルールとして、ユーザーの短期の持ち込みに限り「試料・化学薬品等持ち込み・使用届」をもって入手願に代えることができます。
- 持ち込みまたは使用する全ての試料・化学薬品等を含めて下さい。特に高圧ガス(ボンベ)は、総量規制がありますので、無害のガスを含めて容量と充填圧を明記して下さい。また、持ち込み・使用が全くない場合にも、確認のため“なし”と記した「持ち込み・使用届」を提出して下さい<実験以外の用事で来所される場合、提出の必要はありません>。なお、放射性物質の持ち込みについては、「持ち込み・使用届」とは別の規制がありますのでご注意下さい。
- 消防法が定める危険物(→危険物のリスト)・毒物劇物取締法等が定める毒物・劇物(→毒物・劇物のリスト)を持ち込む時は、「持ち込み・使用届」に明記して下さい。
- 労働安全衛生法でリスクアセスメントが必要とされる物質(→対象物質のリスト)を持ち込み・使用する時には、実験責任者がリスクアセスメントを行って、その結果を提出して下さい。詳しくは別ページの説明をご覧下さい。
- 持ち込み薬品の安全性を確認するための時間が必要ですので、「持ち込み・使用届」は持ち込みの2週間前までに「共同利用者支援システム」から提出して下さい。「持ち込み・使用届」が提出されていない場合は、実験を行うことができませんので、ご注意下さい。ビームタイム以外で薬品等を持ち込む場合は、担当者まで直接ご相談下さい。
- 提出された「持ち込み・使用届」について、不備や疑問点がある場合は、再提出や補足説明を求めることがあります。特に「特殊ガス」を使用する場合には、別様式の「特殊ガス使用届」を「共同利用者支援システム」から提出いただきます。特殊ガスを用いる実験に関しては、“配管および除害装置等の安全対策について記した図面”及び“物理化学的性質について記述した書面”を準備していただくことがありますので、ご承知おき下さい。
- 共同利用者支援システムから登録された「試料・化学薬品等持ち込み・使用届」は、ビームタイム開始の2〜1週間くらい前に安全担当者が内容を確認して、実験責任者と届の登録者(実験責任者の代理者)にPDFファイルを添付したメールを送ります。各ユーザーの方は、届を印刷して、実験ステーションの通路側にある「ビームライン使用状況掲示板」に貼り出して下さい(→「ビームライン使用状況掲示板」の説明)。
[4]化学薬品等の管理
- PF外部のユーザーが、ビームタイム期間を超えて化学薬品等を保管することは、原則として認められません。
- 持ち込み薬品等は、持ち込みグループが責任を持って管理して下さい。実験後の薬品及び廃棄物は持ち帰りが原則になっていますので、よろしくご了解下さい。特に、毒物・劇物の紛失・飛散・持ち帰り忘れのないように注意して下さい。
- 毒物・劇物(→毒物・劇物のリスト)または特殊ガス(→特殊ガスのリスト)を一時的に保管する必要がある場合は、運転当番まで、ご相談下さい(長期の保管は認められません)。
[5]化学薬品等の使用と廃棄
- 廃液を伴う化学実験は、排水貯留槽のある場所(PFでは化学試料準備室、化学洗浄室、結晶準備室、生理準備室、生物準備室、暗室など)に限られています。
- 廃液及び2回までの洗浄液は、指定された区分に従って分別収集して下さい。廃液(有機溶媒を含む)を流しに捨てないで下さい。
- 特殊ガス(蒸気圧が高い/沸点が低い有害物質を含む)の使用は“特殊ガス使用ガイドライン”に従って下さい。
[6]その他の注意点
- 取り扱う化学物質の特性をよく理解して作業を行って下さい。
- 解らないことを解らないままにして作業しないで下さい。
- ベリリウム・鉛など、毒性の強いものの取扱いは慎重に行って下さい。
- 危険な物質を取り扱うときは2人以上で作業して下さい。
- アセトン・アルコールなど、有機溶媒の使用は最低限に済ませ、できる限りその蒸気を吸引しないで下さい。
- ハンダ付け・ベーキングなど発熱を伴う作業を行う時は、周辺の化学薬品に注意して下さい(有機溶媒等可燃性のものは遠ざけて下さい)。