BL-11B 軟X線2結晶分光ステーション
ビームライン担当者: 北島 義典
5645(PHS:4279)
yoshinori.kitajima@kek.jp
PFでは開発研究多機能ビームラインをBL-11エリアに建設することとなり、現在のBL-11Bは2023年3月までで利用を終了し、BL-11Bのアクティビティは移転して建設されるBL-12A(2023年秋以降に利用可能となる見込み)もしくは他のビームラインで継続されることになります。
[English]
1.概 要
BL-11Bは、偏向電磁石を光源とし、集光鏡と高真空2結晶分光器を用いて軟X線領域(1.72 - 5.0 keV)の単色光を供給するステーションです。光源リングとの間にBe窓が存在せず、通常のX線ステーションでは利用困難な低エネルギー領域の分光研究に用いられることを想定して設計されているため、Si,P,S,Clなど軽元素のEXAFS測定が可能です。
2009年夏に、1982年のPF運転開始以来使用してきた2結晶分光器の使用を終了し、1993年2月〜2004年6月に旧BL-28Bで利用されていた分光器を設置しました。分光結晶冷却系が改善され、ビームの安定性が向上したほか、分光結晶の切り替えが容易に行えるようになりました。
同時に制御系を、従来のPC-9801/MS-DOS/FORTRANシステムから、WindowsXP/STARSシステムに更新しました。
図1. BL−11Bの光学系
2.性 能
光学系 | 前置集光鏡[Niコート]+2結晶分光器[Si(111)またはInSb(111)] |
エネルギー領域 | 2057 eV - 5000 eV[Si(111)]または 1724 eV - 3700 eV [InSb(111)] |
分解能 | E/ΔE ~ 5000[Si(111)]または 1600[InSb(111)] |
ビームサイズ | ~ 5 mm (H) × 2 mm (V) |
ビーム強度 | 最大~1011 photons/s |
図2. XANES スペクトル測定例(Na2S2O3のイオウK吸収端[分光結晶Si(111)利用])。
図3. EXAFS スペクトル測定例(SiウェハのSi K吸収端[分光結晶InSb(111)利用])。
図4. XANES スペクトル測定例(BaTiO3のTi K吸収端[分光結晶Si(220)利用])。
3.付属品等
- 分光器制御用計算機一式(Windows XP)
- XAFS測定用ソフト(Visual BASIC; BL-12Cなどと類似のもの)
- 光強度モニターシステム一式
- 全電子/蛍光X線収量XAFS測定用真空槽
- 試料槽用架台(2.2m×1.4mおよび1.3m×1.0m各1台)
4.その他
- XAFS測定等に用いる簡単なもの以外は,原則として試料槽は持ち込んで下さい。多くのPFの実験装置を連結することが可能です。実験装置の利用に当たっては、各装置の担当者にご相談下さい。
- 試料槽の真空度は10-5 Torr程度以下まで到達できる必要があります。
- 試料位置のビーム高さは床面からは約1.55mですが,架台からは約1.2mになります。通常はビームが1.2度振り上げとなっているため、連結する実験装置も傾ける必要が考えられます、
- 直線偏光度は未測定ですが,95%以上と推定されています。
6.発表論文
発表論文(PF関連出版データベースに登録されているもの)のリストを用意しましたので、ご覧下さい。
Last modified: April 8, 2013.