BL-2A 軟X線アンジュレータ2結晶分光ステーション
ビームライン担当者: 北島 義典
5645(PHS:4279)
yoshinori.kitajima@kek.jp
[English]
1.概 要
BL-2Aは,軟X線アンジュレータ(U#02;周期6cm×60,Kパラメータ2.24-0.18)を光源とし,
高真空2結晶分光器および2枚の後置集光鏡を用いて単色光を供給します。アンジュレータは,特定のエネルギーの光を非常に小さな発散角の中に放射すること(高輝度・準単色性)が最大の特徴で,高平行度のために大強度・高分解能を容易に利用することができます。U#02の基本波のエネルギーは,290-973eVの範囲(2.5GeVの時)にあり,実験時間中に自由に変更することができますが,BL-2Aでは分光結晶の利用できるエネルギー範囲の制限から,3次以上の高調波を利用することになります。なお,PFでは偏向電磁石光源で同様のエネルギー領域をカバーする BL-11Bがあり、分解能や光強度は劣るものの広いエネルギーにわたるEXAFS測定などの利用が可能です。
図1 BL−2A光学系の配置。
2.性 能
光学系 | 2結晶分光器[Si(111)またはInSb(111)]+後置集光鏡[横+縦] |
エネルギー領域 | 2082 eV - 5000 eV[Si(111)]または 1745 eV - 3700 eV [InSb(111)] |
---|
分解能 | E/ΔE 5000 - 8000[Si(111)](図3参照)または ~2000[InSb(111)] |
ビームサイズ | ~ 1 mm (H) ×1 mm (V) |
ビーム強度 | 最大~2 × 1011 photons/s |
図2 Si(111)分光(集光鏡使用)のスペクトル分布測定例。
図3 [S2O3]2-のS K-吸収スペクトル。BL-11Bにおける測定と比べて高分解能である。
3.付属品等
- 分光器制御用計算機一式(PC-9801VM2, 3.5"FDD(2HD)付き)。
- XAFS測定用ソフト(MS-FORTRAN; BL-10Bなどと類似のもの)。
- 光強度モニターシステム一式。
- 試料槽用架台(2.2m×1.4m)。
4.その他
- 現在のところステーションに固有の実験装置はありません。原則として試料槽は持ち込んで下さい。多くのPFの実験装置を連結することが可能です。実験装置の利用に当たっては、各装置の担当者にご相談下さい。
- 試料槽の真空度は10-4 Torr程度以下まで到達できる必要があります。
- 試料位置のビーム高さは床面から約1.31mですが,架台からは約1.2mになります。
- ビームが1.2度振り上げになっており,通常は実験装置も傾けなければなりません。
- 直線偏光度は未測定ですが,98%以上と推定されています。
- 低エネルギー側をカバーする偏向ブランチ(BL-2C)とタイムシェアリング方式での利用が行われています。
- 分光しない状態のアンジュレータ光を小さな試料に直接照射するような実験も可能です。担当者までご相談下さい。
- 1998年春の光源リング高輝度化により、利用できる光強度が従来よりも増加しています(図4)。
図4 1998年春の高輝度化前後のアンジュレータスペクトルの変化(小さなアパーチャを用いた時の実測値)。5次光のピーク強度が約2.4倍になっている。なお、より大きなアパーチャを用いて水平方向の取り込みを4倍大きくした場合(集光により通常の実験に利用可能な全光量の取り込みの場合)には、ピーク強度の増加は約1.5倍となった。
5.参考文献
- H. Maezawa et al., Rev. Sci. Instrum., 60, 1889 (1989).
- Y. Kitajima et al., Rev. Sci. Instrum., 63, 886 (1992).
- Y. Kitajima, J. Elec. Spectrosc. Relat. Phenom., 80, 405 (1996).
- Y. Kitajima, J. Synchrotron Rad., 6, 167 (1999).
6.発表論文
発表論文(PF関連出版データベースに登録されているもの)のリストを用意しましたので、ご覧下さい。
Last modified: September 13, 2000.