施設運用 of ERL情報サイト



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エネルギー回収型ライナック光源(Energy Recovery Linac)情報サイト

ERL施設の運用に関する質問

基本的な理念

Q: ERLを決断された際、先端性(先鋭的研究)と汎用性(現状の延長線上にある研究)の両立を重くとらえ、「FELではなくERLでなければならない」という結論に達した、とされていますが。その理念は現在も健在と考えて良いでしょうか。 (XAFSユーザーグループ)
A: 今や放射光は極めて多くの研究分野での基盤的分析ツールとなっており、将来にわたって必要不可欠であることはいうまでもありません。ERLというリング型光源を採用することで周回部に偏向電磁石が設置されており、ERLの偏向電磁石BLにおいて、PFとほぼ同等なフラックスの測定が実行可能となります。一方で、ERLの先端的な特徴である、X線領域での回折限界集光、空間コヒーレンス、フェムト秒パルス性等を最大限に活かすことも極めて重要です。汎用性だけでなく、先端的研究分野の開拓や、それに必要なビームライン装置、検出器開発等を、施設・ユーザーが一体となって強力に推し進めてゆくことが望まれます。(ERL偏向電磁石のスペクトルを掲載予定)

運転時間とビームラインの数

Q: ERLでの、運転時間とビームラインの数はどれぐらい?ユーザーとしては、PFでのマシンタイムをERLで、どの程度カバーできるのか知りたい。 (構造物性ユーザーグループ)
A: まだ具体的な年間運転時間が決められるようなフェーズではありませんが、基本的な考え方としては、現在のPFと同様に、年間200日程度の運転時間を確保することが期待されます。ビームラインの数としては、挿入光源BLが約30本程度、偏向電磁石BLは必要に応じて設置が検討されます。

加速エネルギーの変更(5GeV→3GeV)について

Q: 計画されているERLのエネルギーが従来アナウンスのあった5GeV から 3GeV に変更されていますが。変更の理由や経緯、変更による想定スペックの変化などを教えて下さい。(XAFSユーザーグループ)
A: ERLの電子エネルギーの変更が行われた主な理由は3点あります。
1.先ず、日本の放射光科学のサイエンスとハードウエアーとのバランスを見たときに、良くご存知のように3GeVクラスの軟X線からX線までを十分にカバーする光源が欠落しています。その軟X線分野をPFの将来計画でカバーすることの重要性の認識があります。翻って、ERLを見たときに、5GeVから3GeVクラスにエネルギーを変更しても、10pmradから15-17pmradへのエミッタンスの劣化はあるものの、依然、通常のX線領域で十分にアンジュレーター光として10^23規模の輝度が確保できること、また将来の挿入光源技術(短周期アンジュレータ開発)の発展を考えると、更なる高エネルギーX線に対しても十分に対応できると判断しました。
2.他方は、現実的なプロジェクトとしてKEKから要求を出していくに当たり、より、確実にプロジェクトを進めるために、予算規模の縮小(300億円クラス)を念頭においています。すでに研究開発が進められ、次の段階として量産化をにらんでの予算積み上げが加速器担当者の下で進めています。
3.ERLの2期計画であるXFEL-Oを確実にするために、7GeVクラスの入射部が必要ですが、3GeVクラスのERLの建設は、2回加速を念頭に置いたときにそのベースとなります。




Q&Aの最終更新日 : 2011-07-18