2018S2-001
高分解能角度分解光電子分光による新奇量子物質におけるエキゾチック準粒子の探索

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●基本情報
 ●実験責任者:佐藤 宇史(東北大・理)
 ●課題有効期間:2018/4〜2021/3
 ●実験ステーション:28A/B
 ●関連課題:2015S2-003(高分解能角度分解光電子分光による 高機能物質における新たな量子物質相の探索)
       2012S2-001(高分解能角度分解光電子分光によるディラック電子系の量子現象の解明)
       2009S2-005(新規高温超伝導体および関連化合物の高分解能角度分光電子分光)
       2006S2-001(強相関遷移金属酸化物の高分解能角度分解光電子分光による研究)

●課題の概要
 様々な物質の素励起は、フェルミ準位近傍において形成される準粒子バンドによって記述される。近年注目されている高温超伝導体、グラフェン、トポロジカル絶縁体などの新奇量子物質の多くは、ディラック粒子、ワイル粒子、マヨラナ粒子などの「エキゾチック準粒子」により物性が特徴付けられており、巨視的量子物性や、それらを応用したデバイス研究が急ピッチで展開されている。本研究では、BL28にける偏光可変高輝度光を利用した高分解能角度分解光電子分光エンドステーションの整備・改良を行い、これを用いて、トポロジカル半金属、原子層物質、高温超伝導体などの新奇量子物質における低エネルギー励起状態を高精度に決定し、エキゾチック準粒子と特異物性発現機構との関連を明らかにすることを目的とする。研究を強力に推進するために、新たに建設を進めている広角度取込型の静電半球アナライザーを備えたエンドステーションの整備・改良を行う。装置全体の分解能の向上に加え、測定効率向上のために多自由度測定用試料マニピュレータの開発と測定の自動化を進める。将来の共同利用も見据えて、ユーザー親和性の高いロードロックシステム・試料搬送機構の導入や装置の安全対策の強化も進めていく。また、薄膜試料の測定のためにMBE薄膜試料作製および評価槽の立ち上げを行う。
装置の整備改良と並行して種々の新奇量子物質のARPES実験を行う。トポロジカル分野においては、トポロジカル絶縁体の強磁性化、トポロジカル半金属における新たなエキゾチック準粒子の解明と、薄膜物質の超伝導化などを行う。原子層物質においては、原子層グラフェン超伝導体のTcの向上、種々の元素のハニコム格子原子層の作製とその電子状態の解明、遷移金属ダイカルコゲナイドにおける種々の量子相の実現に取り組む。高温超伝導体・エキゾチック超伝導体においては、ボゴリューボフ準粒子分散の精密測定による超伝導機構の解明、トポロジカル超伝導体の探索などを行う。さらに、エキゾチック準粒子の新たな探索分野として、異種物質の薄膜ハイブリッドを作製し、その接合界面における電子状態の解明を行う。
以上の研究を強力に推し進め、エキゾチック準粒子と新奇量子物性との関連が明らかになることで、新物質・新物性の開拓や、次世代電子デバイスの開発に大きく貢献することが期待される。

●成果発表
 ●論文


 ●PF Activity Report

 ●PFシンポジウム

●その他