2009S2-005
新規高温超伝導体および関連化合物の高分解能角度分光電子分光

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●基本情報
 ●実験責任者:藤森 淳(東大)
 ●課題有効期間:2009/4〜2012/3
 ●実験ステーション:28A
 ●関連課題:2006S2-001(強相関遷移金属酸化物の高分解能角度分解光電子分光による研究)
       2012S2-001(高分解能角度分解光電子分光によるディラック電子系の量子現象の解明)

●課題の概要
 今年2月の鉄系超伝導体の発見以来、世界中で研究競争が始まり、高温超伝導研究に全く新しい流れが起こった。この物質系の超伝導機構を解明することは、更に高いTc をもつ超伝導体開発の指針を与えるといえる。本研究では、高輝度ビームラインBL28A の高エネルギー分解能および励起光可変性を利用した角度分解光電子分光(ARPES)を用いて鉄系高温超伝導体および銅酸化物高温超伝導体の電子状態を精密に決定することによって、その高温超伝導機構を理解することを目指す。
 鉄系超伝導体の研究では、励起エネルギーを系統的に変化させた測定を行う事によってフェルミ面とエネルギーバンド分散を3次元的な運動量空間において完全決定する。同時に、準粒子、超伝導ギャップ、および擬ギャップを直接観測し、フェルミ準位近傍の微細電子構造と超伝導発現機構との関係を明らかにする。特にノンドープの母物質に見られているスピン密度波と電子状態の関係を明らかにし、磁気秩序状態と超伝導との関連について議論する。
 銅酸化物、マンガン酸化物の電子状態の研究では、電荷、スピンの秩序状態が電子状態に及ぼす影響を系統的に調べる。また銅酸化物ではフォノンの分散異常と、電子構造に表れているkink 構造との対応を調べ、電子状態に表れる電子格子相互作用の影響を明らかにする。これらの結果より、鉄系超伝導体における磁気秩序状態との類似点、相違点を明らかにし、高温超伝導機構について包括的に議論する。
 以上の「高分解能ARPES による新型高温超伝導体の電子状態の解明」は、更に高い超伝導転移温度を目指した物質探索の指針を与えると同時に、新たな超伝導デバイスの開発にも大きく貢献する事が期待される。また、着実に進歩しながらも未だ解明に至っていない銅酸化物高温超伝導体の研究へ、新しい視点から知見をもたらし解明への道筋を与えるであろう。

●成果発表
 ●論文


 ●PF Activity Report

 ●PFシンポジウム

 ●その他