2012S2-001
高分解能角度分解光電子分光によるディラック電子系の量子現象の解明

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●基本情報
 ●実験責任者:高橋 隆(東北大理)
 ●課題有効期間:2012/4〜2015/3
 ●実験ステーション:28A
 ●関連課題:2015S2-003(高分解能角度分解光電子分光による 高機能物質における新たな量子物質相の探索)
       2009S2-005(新規高温超伝導体および関連化合物の高分解能角度分光電子分光)
       2006S2-001(強相関遷移金属酸化物の高分解能角度分解光電子分光による研究)

●課題の概要
 トポロジカル絶縁体やグラフェンなどのディラック電子系新機能性物質が最近次々に発見され、物性解明やデバイス応用に向けての研究が急ピッチで進んでいる。これらの特異物性発現機構の完全解明には、その電子状態をバルクと表面に分離して精密決定することが不可欠である。本研究では、高輝度ビームラインBL-28Aの高エネルギー分解能および励起光可変性を利用した高分解能角度分解光電子分光(ARPES)法を用いて、トポロジカル絶縁体、グラフェン、遷移金属化合物などのディラック電子系物質におけるフェルミ準位近傍の基盤電子構造を解明し、特異物性発現機構との関連を明らかにすることを目的とする。
トポロジカル絶縁体の測定では、放射光の励起光可変性を生かして、表面とバルクに完全分離して、フェルミ面とエネルギーバンド分散を決定すると同時に、準粒子構造を高精度で観測し、ディラック電子に働く多体相互作用の同定を行う。また、3次元的な運動量空間におけるARPES測定を行うことで、新型トポロジカル絶縁体の同定を行う。グラフェン関連物質においては、積層数をよく制御した多層グラフェンとその層間化合物のフェルミ準位近傍の微細電子構造を決定し、基礎電子物性やデバイス応用に資する基盤電子構造を確立する。遷移金属化合物およびその他のディラック電子系の候補物質については、ブリルアンゾーン全体を網羅する包括的ARPES実験を行い、結晶中におけるディラック電子の有無を明らかにする。
 以上の「高分解能角度分解光電子分光によるディラック電子系の微細電子構造の研究」は、新型ディラック電子系物質の探索への指針を与えると同時に、新たな低消費電力電子デバイスの開発にも大きく貢献することが期待される。

●成果発表
 ●論文


 ●PF Activity Report

 ●PFシンポジウム

 ●その他