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●基本情報
●実験責任者:山崎 裕一(物質・材料研究機構)
●課題有効期間:2021/10〜2024/9
●実験ステーション:2A/B, 3A, 4C, 8A, 11B, 13A/B, 16A
●関連課題:2018S2-006(コヒーレント軟X線回折によるメゾスコピック領域の磁気イメージング)
2015S2-007(共鳴X線散乱による磁気テクスチャとそのダイナミクスの観測)
2012S2-005(外場下共鳴軟X線散乱による構造物性研究)
●課題の概要
物質中の磁性と電気特性の結合は多彩な創発物性を生み出し、デバイス材料への応用が期待される機能の宝庫である。トポロジカル磁性体では実空間や運動量空間においてトポロジカル数で定義されるスピンテクスチャーが多彩な電磁応答を生み出すことが知られている。例えば、実空間のスピン渦状磁気構造体である磁気スキルミオンは、トポロジカルチャージ(スピンの巻き数)で定義されトポロジー安定性によって外乱要因にロバストであり巨大な創発電磁場を発生する。また、時間反転対称性を破れた反強磁性体では運動量空間における仮想磁場によってトポロジカルホール効果や巨大磁気光学効果を引き起こす。このようなトポロジカル磁性体のマクロな創発物性や機能を解明、新機能特性を開拓するためにはスピンテクスチャーの構造を明らかにし、その動的な電磁応答を理解することが重要となる。
本研究では放射光から発生する高輝度な軟X線の特性を最大限に活用しトポロジカル磁性体における創発物性を微視的な観点から解明することを目指す。特に、放射光軟X線の特長である高輝度光源によるコヒーレント特性、可変偏光特性、エネルギー可変性といった特性を最大限活用し、トポロジカル磁性体に内在する位相(トポロジカル)欠陥や拡張多極子の動的構造可視化を通じて創発物性との相関に迫っていく。例えば、磁気スキルミオン運動の電流、光、熱流制御・応答のオペランド計測、異常ホール効果(トポロジカルホール効果)における異方的磁気双極子項の役割、磁気スキルミオン格子の位相欠陥から発生する光渦検波と非平衡状態ダイナミクスの解明、磁性トポロジカル絶縁体やワイル磁性体のエッジやドメイン壁の電子状態観測を試みていく。X線が光として有している特性を極限まで活用し放射光でしか明らかにできない創発物性の未踏測定領域や新しい物性の解明を目指していく。
●成果発表
●論文
M. Kondo, M. Ochi, R. Kurihara, A. Miyake, Y. Yamasaki, M. Tokunaga, H. Nakao, K. Kuroki, T. Kida, M. Hagiwara, H. Murakawa, N. Hanasaki, and H. Sakai
Phys. Rev. B, 107 (2023) L121112.
Yuta Ishii, Yusuke Kozuka, Yuichi Yamasaki, and Hironori Nakao
JPS Conf. Proc., 38 (2023) 011190.
●PFシンポジウム