2018S2-005
BL-13B光電子分光システムのマイクロ測定を目指した高度化と機能性材料の精密物性評価研究

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●基本情報
 ●実験責任者:小澤 健一(東京工業大学理学院)
 ●課題有効期間:2018/10〜2021/9
 ●実験ステーション:13B,3B
 ●関連課題:2015S2-008(先端軟X線分光の融合による活性触媒の電子状態と反応活性に関する研究)
       2012S2-006(エネルギー変換材料の表面界面物性:VUV/SX放射光分光による研究)
       2009S2-007(有機分子−電極系の構造・電子状態と電荷移動ダイナミクス)

●課題の概要
 真空紫外軟X線(VUV/SX)領域の高輝度光を利用できるBL-13は、光電子分光やX線吸収分光(XAS)により軽元素(C, N, O, P, S)の内殻準位を高分解能で測定できるビームラインとして利用者に提供されている。BL-13Bでは、3つの光電子分光装置を適宜使い分けながらエネルギー変換材料の物性理解のための研究や活性触媒の反応活性を探る研究を行ってきた。
 本S2課題では、実際の有機半導体デバイスや不均一触媒のようにマイクロメートルより小さいドメインが形成される材料、あるいはミリメートルサイズの微結晶材料において、光電子分光による精密測定を行い、微小領域の電子物性や表面化学反応を明らかにすることを目的とする。研究対象としては、(i) 電子機能性有機微結晶材料、(ii) 新規色素増感有機太陽電池、(iii) グラフェン、遷移金属ダイカルコゲナイド等の二次元薄膜、(iv) 有機合成不均一触媒を予定しており、BL-13BのSES200装置、Phoibos100装置では超高真空環境下における電子構造解析や化学状態解析を実施し、準大気圧光電子分光(NAP-XPS)装置ではパスカルオーダーの雰囲気環境下における触媒反応解析を行う。
 BL-13Bは光のスポットサイズがすでに210x40マイクロメートルまで絞れており、サブミリメートルの空間分解能での測定が可能な性能を持っている。しかし、エンドステーション側では表面マッピングができる程の精度を持つ試料操作ができない。本課題では、微結晶やマイクロドメインの測定を目指すが、例えば1mm以下の微結晶の角度分解光電子分光(ARPES)測定をする場合には、光をこれより小さく絞りかつ結晶方位を精密に制御する必要がある。このような測定の実現のために、試料マニピュレーションの高度化とビームサイズの縮小化を本課題のもう一つの達成目標として掲げる。
 機能性有機材料や触媒材料の物性は、構成ドメインの物性の集合として現れるのが普通である。しかし、個々のドメインの物性と全体の物性がどのような関係にあるのかについては未知な部分が多く、これを知ることはデバイスや触媒の動作原理を理解し高性能化を図る上では重要である。本S2課題ではこの部分にメスを入れることを使命とする。

●成果発表
 ●論文


 ●PF Activity Report

 ●PFシンポジウム